当社のビジョンとして、「地方発直接海外へ発信」こそ地方活性化の鍵と考えています。東京を経由せずに直接海外と行う人材の交流、資本の交流こそ、真の活性化の原動力と考えています。
ぜひ、当社のグローバル人材育成プログラムをご活用ください。
ユニークな「グローバル人材育成」ワークショップ、そして、相手のもつ異なる考え方・感じ方を前提に強い対人関係を作り出す「職場のコミュニケーション」ワークショップは、日本のグローバル企業でたいへんご好評を得ています。
それが、そのまま、関西でも身近にご提供できるようになりました。
ユニークな「異文化対応力養成」ワークショップ、そして、相手のもつ異なる考え方・感じ方を前提に強い対人関係を作り出す「職場のコミュニケーション」ワークショップは、日本のグローバル企業でたいへんご好評を得ています。
さまざまな現場の悩みや戦略実現のために、当社のグローバル人材育成プログラムをぜひお役立てください。
戦略人事は、「人事は戦略のためにある」と考えます。人事はそれとして独立して存在するものではないからです。
日本企業がグローバル化するためには戦略的にグローバル化対応のための人材を育成する必要があります。それは深く事業戦略に関係するがゆえに、トップマネジメントの問題意識の強弱がその実現に強く影響を与えます。
少子高齢化などの環境変化から日本国内の市場が狭隘化しつつあるために、今や海外進出により海外売上高を上げることこそが残された成長戦略になりつつあります。
その現状認識から、では、どのようにいつまでに何を施策として実施していくかが問われています。
そのために、どの地域にどの費用をかけてどのくらいの売り上げ目標を立てるのか、という事業戦略(選択)がまず課題になります。
そして、それを支えるためのビジネスフローをシナリオ化していきます。何をどのようにすれば、その目標を達成できるのか、それは、単なるプレゼンテーションの美しさではなく、実際に実現可能かどうかにかかっています。
トップマネジメントの今や使命となったグローバル化へのシナリオを、ここで整理してみましょう。
グループ経営戦略 | 市場分析・競争分析・SCM構築分析合理的な分析に基づく中期事業計画・3年計画(数値目標で海外売上高x%増しなど) |
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グローバル組織・人事戦略 | 「グローバル人事部」機能の位置づけ、グローバル化関連役員会 |
グローバル人事戦略の方針 | 海外拠点長(経営人材)の選抜、日本人海外要員の養成、外国人社員の当社一体化と戦略・戦略共有。 |
グローバル人事のオペレーション(運用) | 失敗からの学習(単なるローテーションに終わらせない)、 |
グローバル人材育成は、経営戦略の土台になっています。
それは単なる語学教育ではありません。小手先の断片的な知識の伝授でもありません。
グローバル人材育成は、この経営戦略目標との関連でそのコンテンツが決まってきます。
グローバル人材育成のコンテンツは大きく分けて次の二つです。
グローバル化を目ざす、ある日本企業の場合を例にとって、検討してみましょう。
研修背景 | 中期経営計画にあるように、2015年までに海外売上高比率を30%まで引き上げるという目標が設定されている(現在その割合は16%)。 |
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人材育成施策の目的 | ビジネスのグローバル化に対応できるよう人材を育成する。 |
人材育成プログラム | (1)全社TOEIC受験(4月実施)
受講者定員24名とし、各部門より推薦を受ける。 定員を超える申し込みがあった場合は、別途調整する。 研修期間5月第1週から25週間 1レッスン2時間、週1回で合計25レッスン(計50時間) 毎週水曜日18時〜20時(ノー残業デーを利用) クラス編成 英語レベル別に1グループ4〜8名となるようにクラス編成を行う。 クラス分けの基準は、直近のTOEICスコアとする。 上級クラス:プレゼンテーションとネゴシエーション 中級クラス:ビジネス英語 初級クラス:日常会話 その他 研修終了後、TOEICを受験して、研修効果を確認する。
受講者:現在、日本にいながら海外との業務をしている社員(最大5名) 研修期間:3〜6か月 内容:欧米のビジネスクールでミニMBAコースに派遣する。 |
このように、どうしても語学教育重視の傾向に傾きがちです。
数値目標が出しやすいことも理由の一つですが、戦略実施のために当社の必要とするグローバルビジネススキル・セットが何かがわかりません。
そして、語学だけがグローバル人材の要件なのでしょうか?
また、内向き日本人をどのように選抜するのか、ラインマネージャーの中からふさわしい人をどのように選抜するのかもわかりません。
しかも外国籍社員に対しての人事戦略は見えてきません。これでは、グローバルなビジネス戦略実施のための人材育成策とはいえないのです。
さらに、重要なことは、日本企業の場合、「組織で動く」の美名のもとに、①のビジネススキルを過大視しすぎてしまい、意外にも②のパーソナリティの要素を無視しがちです。 ローテーション人事の運用の枠の中では、そこには目が届かないのです。
しかし、考えてみてください。
日本ではありえない孤立無援の状況、知らない物事にでくわし、不可思議で不愉快(愉快?)の人たちの中で、決断し、人を動かし、物事をなしとげなくてはなりません。
それがグローバルリーダーシップの実像です。
それはある意味非常に個人的経験であり、それを乗り越えることで個人の自己成長につながるものです。
そのような「無意識の世界」や「個人の成長戦略」についてまで人材戦略を落とし込むことで本当に強い個人の力を作り出すことができます。
それにはほんのちょっとした見方の組み換え(フレームワークという考え方)によって可能になることさえあります。感情の制御を含め、個人の力を強くすること、対人コミュニケーション能力を意識的に高めること、そのことこそが、グローバル人材育成の第2のポイントです。
ところが、どうしてもグローバルビジネス競争に勝利しようとして①に目が向いてしまう、それがグローバル化をめざす日本企業の盲点となっています。
当社のグローバル人材育成のワークショップメニューは、この二つの要請にこたえるものです。
(1)グローバルビジネススキルの養成 | → 社内ミニMBAコース |
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(2)グローバルコミュニケーションスキルの養成 | → 異文化コミュニケーション |
当社の異文化コミュニケーションコースは、異文化理解と強い対人能力の獲得が目的です。そしてこれが当社の最大の特徴となっています。
どのようにしたらグローバル人材に変身できるのか、グローバルリーダーになれるのか、という疑問をもつ方も多いのです。
実際、グローバルリーダーとかグローバル人材に実は学問的な定義など、ないのです。
私のイメージとしては、グローバルリーダー・グローバル人材とは、「仕事で世界に通用するプロフェッショナルな人、そして目的に向かって人々を動かす能力を持つ人」です。
まず仕事ができること!達人であることです。そして、目的を意識してそれをメンバーと共有してその人たちを巻き込みながら結果を出し続けることができる人です。決して語学堪能が
第一の要件ではありません。
では、語学力(英語力)は条件ではないのでしょうか?
まったく語学力がないのに、プロフェッショナルで人々を動かす影響力のある人はいるものです。それでもグローバルリーダーなのでしょうか?
—グローバル人材・グローバルリーダーには語学力は絶対必要で、今すぐでも英語力をつけなさい!と言われることもあります。
—適切なレベルのテキストを選びなさい、徹底的にそれを覚えなさい、毎日10個ずつ英文を暗唱しなさい、3か月で300個覚えなさい・・・と強調する先達もいます。
●グロービッシュなら、非ネイティブでも1年で習得可能
—しかしながら、ビジネス遂行にあたって英語堪能が絶対条件だというわけではありません。「仕事で世界に通用するプロフェッショナル」の活動に必要な程度の語学力です。その仕事が同時通訳であれば別ですが、生産・研究・販売・金融などが仕事であれば、それに必要な語学力です。 |
●日本国内にいる限り、特にグローバル人材を意識する必要などない、ことも事実でしょう。
しかし、国内にいたとしても、その職場に外国籍社員がいて隣の席に座ったとしたらどうでしょう。新入社員の30%を外国人とする会社もあるくらいです。ある日突然に今の会社が外国の会社に買収されることもあるのです。ある日貴方自身が外国拠点に配置されることもあります。外国人との接点は、実は日本国内にいても、多岐多彩に広がってきています。
●そのような職場の変化をとらえると、「グローバル人材」に変身するに、一番簡単で、最も有効な方法があります。それは何か、というと、「上司が外国人になる」ことです。(「日本板硝子」社員の方の感想)
レポーティングラインが外国人になると、身の処し方、コミュニケーションの取り方、どれをとっても(上司が外国人であるから)グローバル化せざるをえません。
今までのように「無意識」のうちにしてしまう日本的な曖昧な物言い、以心伝心では事が運ばなくなるからです。「意識」してグローバル人材に変身せざるをえません。
●では、外国赴任すれば、グローバル人材になれるのでしょうか?海外留学すれば自動的にグローバルリーダーになれるのでしょうか?
外国拠点・支店に駐在員としてローテーションされても、現地の上司(社長)が日本人であれば、実は全くグローバル人材に変身する必要などないのです。
それは日本においても上司や同僚が外国籍社員となれば自分がグローバル人材に変身せざるを得ないのと同じことで、環境が外国でも上司・同僚が日本人であれば関係性は日本人同士と同じだからです。
外国駐在でも日本人上司の下で、プライベートでも「日本人村」で過ごすのですから、東京から大阪に赴任したと同じことなのです。
いずれ時間がたてば東京本社に戻れるのですから、ローテーションの一部にすぎず、そこで何をするのか、戦略を実施するなどという「だいそれた」ことなど考えることなく過ごすのです。
ですから、現地ローカル社員との交流を上手くやってその力を使って目標を共有しながら活動するというグローバル人材としての行動パターンがとれないことになってしまいます。
その個人の行動様式まで深く踏み込んで現地での成功を引き出していく関係性構築はただの「お題目」になってしまうのです。
●この大きな原因が「ローテーション人事政策」です。
ローテーションなので、特に何のために(海外)赴任するのか意識することがないのです。個人として海外赴任の目的、事業戦略を意識する方がどのくらいいらっしゃることでしょう。
それを会社側から明示され合意し議論する機会などないのが実情なのです。
ローテーションではなく、特別の「意味」をもつ赴任であること、その「意味」とは何か、海外勤務を経ることの独特の社内プラス評価要素とは何なのか、キャリアの美点評価となるのだという位置づけを明確にする、という「全社的な人事政策」として取り込まれることが大切なのです。
●「全社的な人事政策」の確立・遂行の側面とは別に、個人レベルでも海外赴任のとらえ方を深く、より深く考える(Why, How・・・)ことも非常に重要です。
海外勤務についてその間に個人として、人間として大きく成長する、というstrategic growthこそが、グローバル人材政策の最も重要なことです。
その結果、自分とは違ったものを許容し、「なあなあ」の解決ではなく、本質的なものの解決をめざすこと、しかも先送りせずにその場でスピード感をもって決断しただちに実行すること、知識や背景事情などを細かくコミュニケーションして説明し、なぜそれをしなくてはならないのか(日本ではいちいち反芻したりしない根拠づけ)をクリアにロジカルに共有すること・・・そのような行動様式をとれることがグローバル人材の本質だと思います。
それは日本に帰国して国内の職場に移ったとしても、それは大きく人間的に成長したビジネスパーソンになれるのです。
海外駐在員に対する「帰任政策」と一口にいいますが、このように深くpersonal growth strategyを語ることこそ、最も重要な会社のグローバル人材育成へのコミットメントといえると思います。
内閣府 経済社会総合研究所
http://www.esri.go.jp/index.html 研究会報告書等 NO。41
「地域経営の観点からの地方再生に関する調査研究」平成21年4月
内閣府経済社会総合研究所
http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou050/hou041.html
以下は、同報告書からの一部引用です。
第V章 地域再生サポート施策
地域再生サポートの視点これまで政府は、様々な地域活性化策を実施するとともに、地域における活性化の取り組みを支援してきた。平成 20年に設立させた省庁横断的に地域再生事業を担う「地域活性化総合本部」の設置は、その一つの到達点ともいえる。
各省庁で取り組まれている地域活性化施策の情報を一元的に管理するとともに、あらかじめメニューを決めず、地域の主体的な取り組みを国が直接支援する「地方の元気再生事業」を創設している。
その中で、本調査研究において「地域経営研究会」のもとで検討してきた地域再生の方向は、現在国会で審議中の企業再生支援機構設立の視点に対応したものである。 苦境に立っている伝統産業、生活産業あるいは個々の地域の中核企業について、地域資源としての価値を的確に評価した上で再生プランを検討し、地方自治体、金融機関、民間企業等と協力して経営人材、資金をセットで供給していく支援方策、言い換えると M&Aの考え方で地域の中核的な「経営」を改善し、その成果を地域全体に波及させていこうとするものである。
単なるプロジェクト支援、補助金支援ではなく、一定のリスクを負いながら、戦略的な視点、地域経営の視点で地域再生に取り組もうとする考え方であり、本章では、それに対応した地域再生サポートについて検討する。
2.地域再生サポート施策の方向
平成 19年度より取り組まれている本調査研究では、地方企業の事業承継の課題、地方企業のM&A動向、地域経営人材の育成、地方企業の国際化、ファミリー企業、地域ファンドなどのテーマを検討してきたが、グローバル化、少子高齢化などのトレンドの中で、広い視野を持って地域の様々な「地域経営」の改革を進めていくこと、そのための人材を育成、あるいは供給していく体制の強化が必要とされている。
ファミリー企業が大半を占め、新しい時代に対応できる人材確保に苦慮している地場産業、依然として公営企業的な経営、生産性を改善できないでいる生活インフラ産業、これらの「地域経営」を単に守るのでは地域の活性化に連動していくことは難しい。保有する経営資源を再評価し、その価値を高めていく経営の質が求められている。
後掲するヨーロッパの事例は、我が国にそのまま当てはめることはできないが、今後の地域再生に向けて、参考になる情報を含んでいる。 例えば、EUの「地方」であるポーランドの経済を活性化するために、EUやポーランド政府は様々な地域ファンドを用意して、起業や外国企業の進出を支援している。経済省を中心に各省庁が強力な連携体制を組んでいることも特徴的である。
もちろん他の地域から遅れをとり、必死に取り組んでいる状況があるが、EUにおける地域ファンドの機能は、我が国の地域再生にも参考になるとみられる。
また、製造業の空洞化、若者失業者の増大を背景に構築されたイギリスの人材育成制度も興味深い。イギリスの国家技能資格制度と、それを支える教育機関である国立職業技能アカデミーは、民間企業の積極的な参加のもとで大きく発展してきている。
地方に多くの大学が立地する我が国において、地域経営の改善を進める人材の育成に大学の果たす役割は大きいと考えられる。しかし現状では、地域活性化を課題とする大学は急増しているものの、地域経営の視点で人材育成に取り組む大学はまだ少なく、地域再生にとって大きな題の 1つになっている。
すでに職業訓練校は我が国にも存在しているが、イギリスのような資格制度や民間企業との連携は十分とはいえない。
また、技能労働者の養成が中心で、「経営」という視点の教育は皆無といってよい。 さて、個々の地域で、的確な地域再生のプログラムが策定され、産官学が一体になって取り組まれることが期待されるが、現在審議中の企業再生支援機構の設立とともに、地域の意識を変えていくための情報提供は重要と考えられる。
地域経営の視点からみた地域再生サポートとして、地域への情報提供、あるいは地域とともに検討するテーマについて整理すると以下のようである。
(1)M&Aやファンドの活用地方におけるM&Aは、近年増加しているが、後継者不足による事業承継や建設業のように市場縮小による業界再編が中心になっている。もちろん、積極的な事業展開の手段としても活用されているが、企業アンケート調査にもみられるように、関心のない企業が半を占めている。M&Aを実施するか、ファンドを活用するかではなくて、M&Aやファンドの機能、考え方について正確な知識を持つことは、企業だけでなく地域おこし事業や自治体関係者にとても重要と考えられる。
(2)地域再生のファンドの育成現在、地域ファンドとして、ベンチャーファンドや再生ファンドが活動しているが、地方企業の認知度はかなり低い。地域ファンドは地域金融機関と補完しあいながら、地域経営の改善をサポートしていくとみられるが、現状の体制は資金力の面でも、人材サポート面でも不足している。今後は、地方の状況に対応した多様なファンドを育成していくとともに、的確な情報を地域に提供していくことが重要である。
(3)経営人材の育成と大学の活用大学では全国的に地域活性化に寄与していこうとする動きが活発化しており、「地域再生システム論」も既に 25の大学で取り組まれようとしている。しかし、地域経営の視点からると、地域再生において大学には、まだ色々な役割があると考えられる。直接的には、こからの「地域経営」を担える人材の育成が求められているが、地域活性化に取り組むネットワークの拠点として、域外の情報を入手できる拠点としての役割も大いに期待される。
(4)地域経営人材の供給体制「地域経営」の改革に必要な人材の確保は、焦眉の課題である。仮に資金的な支援を受けることができても、新たな経営人材が確保できないと経営改革は難しいことが多い。経改革には外の人の存在が重要で、客観的に経営資源を評価し、新しいやり方を導入できる人材の存在が、既存の人材の潜在能力も引き出すことになる。地域おこしの事例をみても、必ず他の地域からの移住者や Uターン者が大きな役割を果たしている。大都市に多く存する経営経験を持つ人々、特に団塊の世代をリクルートして供給する多様な方法を検討していく必要がある。
以上の課題には、国や地方公共団体が中心になって取り組むべきこともあるが、基本は地域の各界各層が協力して、地域の状況に合わせて様々な工夫をしながら、主体的に取り組んでいく必要がある。
(報告要旨)
(1)地方活性化の視点地方活性化というのがテーマになっているが、茫漠としたメニューを出すということではなくて、その結果どういう状態を求めているか、戦略的な視点が必要である。地域経済活性化で、どのようなブレークスルー・モデルがあるかということになるが、キラリと光企業が地方にあったときに、地域の資産のヒト、技術、モノ、無形なものを活用して、直海外との連携を図り、独自に成長を図ることはできないだろうかということで、少し唐突ではあるが、内外の地域間の直接協業モデルというものを考えてみた。
地方企業を再生することは、これまでは中央の助けを借り、例えば、有力企業のM&A産業再生機構のような形で再生支援が入っていた。また、海外のファンドを呼び込む方法もあるが、経済的リターン・コンシャスの話が常につきまとってくるので、それだけだと地域の生活の質の向上ということにすぐに結びつくのかどうか、あまりにリターンコンシャスが過ぎても問題になる。
そこで、日本の地域と外国の地域との間で中央を経由せずに直接協業の形で「ゆるい」企業連携や地域住民の元気度回復につなげようというシナリオを提示してみたい。以下は地方で独自体制を組んで、海外の地方企業と直接コミニュケーションをとり、グローバル化の中で地域産業の活性化に取り組むというモデルである。
2009/3/11 Yoshimoto Oikawa
3地域間の直接協業モデル!キラリと光る地方企業を発見し、再生(成長)のためのマーケティング協力・資本協力を図る。地方中央都市大都市第一次産業地方中央都市大都市第一次産業ヒト。モノ。カネ。情報日本西欧
(2)あまり日本では知られていないが、ヨーロッパの地方に拠点を持ちながら活躍している企業の例をいくつか紹介する。
そこではなぜヨーロッパでは大都会所在の大企業ではなくむしろ地方企業が元気なのか、その要因をさぐることができる。
まず、ペット産業のペットプランという会社がある。ロンドンから1時間離れているベッドタウンにある会社で、ギリス最大のペット医療保険の会社であり、年商は200億円ぐらいになる。事務所は戸建住宅街の中に立地しており、近くに居住する主婦をコールセンターの要員として雇用して、コスト面で非常に有利な形で機能している。営業も全てやっているので、ロンドン市内に事業所を構える必要がない。この会社は20年前にこの町に住む主婦が銀行から借りた25ポンドで始めた企業である。イギリス最大のサクセスストーリーだが、バッググラウンドがあれば、地方にも有力な企業を生み出すことができる。
次に、スウェーデンの片田舎にあるエルゴノミデザイン社の例を紹介する。エルゴノミデザインは、ストックホルムの近くに立地しているが郊外にあり、周りは大平原、周囲には建物が全くないところにある。冬には大雪原になるが、これはもともと森の中にある古い修道院の建物を改造した建物である。ここにデザイナーが50人ぐらい働いている。この企業は、北欧最大の工業デザイン会社としてよく知られている。
スウェーデンは、第2次大戦に参戦しなかったこともあって、いち早く高齢化社会に入り労働人口を確保する必要に迫られていた。
そこで国家政策として、スウェーデン国立障害研究所をつくった。エルゴノミデザインとは人間工学だが、人に優しいユバーサルデザインを研究する機関であり、そこからこの会社が生まれた。
ちなみに、下の図で示したのは製品の1つで「水差し」だが、航空会社、飛行機の中でスチュワーデスが使うものである。普通の水差しでは、水がたくさんあると腱鞘炎にかかりやすい。それを防ぐために、持ち手のところを広くして、たくさん水があっても腱鞘炎にかからないように、簡単に力をかけずに口を前に動かすことができる。しかも水だれがかからないという非常に売れた商品である。
ヨーロッパ有数の金融機関の本社、総本山だが、実は窓から見える風景は、馬がつながれていたりして、全く田舎の感じである。
ところで、最近スイスに本社機能を移す企業が続出しているという日経ビジネスの記事がある。ヤフー、イーベイ、グーグル、ニコラボ、ポロ・ラルフローレン、サンスターや日産自動車のヨーロッパ本社が例に挙げられている。その理由は、日経ビジネスによると、生活の質がいい、採用するときに国際的人材を確保できる、地政学上のメリットがある、実効税率が非常に低い、雇用の自由度が高い(解雇の自由度が高い)というようなことである。
(3)イギリスには、国家職能資格制度(National Vocational Education and Training System)というのがある。
ものづくりなどの人材育成は、伝統的な徒弟制度に依存してきたが、この制度が次第に崩れていく中で、 1980年代半ばに創設された。この資格は教養資格、一般職業資格、技術者向け資格に分かれており、義務教育、専門学校あるいは働きながら企業内でも修得することができる。むしろ、この新しい職業訓練制度を企業が積極的に取り入れている。 国立職業技能アカデミーが開講されており、現在、製造、建築、金融サービス、服飾小売、食品・飲料5つの産業分野別学校がある。 2008年までに 12の産業分野に拡大される計画である。組織的には「ハブ」と呼ばれる産業別の全国組織があり、そのまわりに車輪のスポークと呼ばれる地域別の組織があるネットワーク型の組織をつくっている。業種別、地域別に具体的な技能訓練が提供されていることで、地域活性化を下支えする制度にもなっている。これは日本では全く注目されていないが、非常に参考となる産業人材育成制度だと思う。
技術とか技能について、日本の場合は、先輩のわざを盗むとか、現場で指導を受けるという形になるが、ヨーロッパの場合は、企業が新たに身につけさせるという考え方がある。ことしの4月にBBCショックというのがあった。BBC放送で英国企業で働く人の40%が翌年離職しようとしているという調査報告があり、大騒ぎになったのだが、離職理由として、会社でのトレーニングがきちんとされていない。仕事上も直属上司のサポートがないのが理由ということであった。
ちなみに「 Engagement survey」は、日本語の適切な訳がないが、例えば会社への Engagementといえば、会社と一体化して会社のために何かやるという気持ちにコミットしているということである。いわゆる従業員満足度調査とは趣旨が違うが、そのような調査を向こうでは定点観察で実施している。ただし、農業についてはやっていないようだ。
最後に、経営者人材の教育であるが、日本では経営人材育成という観点があまりない。
教育体制として、例えばソニー・ユニバーシティとか企業内大学などはあるが極めて不十分である。ヨーロッパ企業では、もっと直接的に経営者を選抜する制度、例えば「アセスメント・センター」という機能がある。これは充実した経営者育成コースとあいまって、新しい未知の課題を自由に解決できる能力があるかどうかをみることで経営者層適材を早期に選抜する仕組みである。しかし、ここまで徹底した経営者育成制度は、ある種家族主義的な日本的企業風土の中ではなじみにくいものがあるかもしれない。
(4)イギリスの地域おこし地域の活性化ということで、イギリスの地域おこしの興味深い事例をいくつか紹介する。特集「地方が元気だ」(「クオリティ・ブリテン2007」駐日英国大使館発行)という本には、地域おこしの光る事例が紹介されている。
まず、リバプールは、ビートルズの出身地として知られているが、当地で主力産業が衰退する中で、ビートルズをネタに活気ある観光都市としていかに再生してきたかを紹介している。 中世の静かな村、ラドロウという田舎町は、人口1万人。ここは「食で町興し」で成功した。そこには、たった6軒の肉屋さんが、手作りのうまい料理を提供して、スローフードイベントをやっていたが、そこにフランスやレストランが参加するようになり、大変な経済効果が派生して、町おこしになっていくという事例。今やラドロウは「英国スローフードの首都」として市長が自分でソーセージを通販するなどユニークな活動をしている。
かと思うと、世界中の本の町の手本になったウェールズの田舎町、ヘイ・オン・ワイの事例も紹介されている。古本を集めて市を開いているうちに、非常に有名になり古本目当てに人が来るようになった。人口たった1,900人の村だが、10万人が来るようになり、クリントン米大統領も訪問したという話である。
それから、コーンウォールでは、「環境」で村おこしを始めた。ここはロンドンからはるかに遠いのにここを訪れた人は700万人。結構大掛かりな植物を使った建物をつくって、いかに環境をプロモートしているのかアピールしている。工事費は成功した場合に限って払えばいいということで、大手の建設業者が参加している。村興しの考え方の枠を超え、「地球興し」とその活動は広がりつつある。 オーガニックで村おこしの例もある。Linking Environment And Farmingということで、通称リーフ(LEAF)と言う。通常オーガニック商品は値段が結構高いが、実際は完全オーガニックでなくても結構いいものができる。農業者たちがやりやすい形でオーガニックをやっていこうという活動で、リーフという一つの「ブランド」にして広めていった。
それから、「精神」を保存する世界遺産の町というのは、スコットランドはグラスゴー近在の小村、ニュー・ラナークである。これは産業革命のときの町をそのまま残して世界遺産の町として登録し、景観だけでなく当時の「精神」も保存する貴重な村として200人が移住し、実際の生活の場としても生かされている。なんと今は工場跡地の訪問者は年間4万人にのぼりそのうち10万人から施設入場収入があるという。在の小村、ニュー・ラナークである。これは産業革命のときの町をそのまま残して世界遺産の町として登録し、景観だけでなく当時の「精神」も保存する貴重な村として200人が移住し、実際の生活の場としても生かされている。なんと今は工場跡地の訪問者は年間40万人にのぼりそのうち10万人から施設入場収入があるという。
日本の企業のグローバル化について、詳しくみていきましょう。今、どこまでグローバル化が進展しているのでしょうか?
グローバリゼーションは、日本企業にとっては、ライバルである海外大手企業の関心事ではあっても自社にとっては他所事(よそごと)であった、というのは昔の話。今やグローバリゼーションは、いやでも直面せざるを得ない日本企業自身の課題でもある。しかし、他所事であっただけに、岡目八目、グローバリゼーションに伴う人事上の問題点も見えてくる。今回からは、視野を広く取って、「日本企業のグローバリゼーション」という経営戦略の持つ意味とそれに対する人事上の対応について話をしてみたい。
そもそも、日本企業のグローバリゼーションをどう定義するかは、その文脈によって異なる。が、仮に、それを売上高に対する海外源泉の割合で、たとえば 30 %を超えている企業のことをいうと定義すると、輸出型企業を含め相当多くの企業がグローバル化した日本企業だということになる。もちろん、その比率が 50 %を超えた場合に限ると定義すれば、もっと数は少なくなるが、しかし日本を代表する超巨大企業は実はこの水準を超えている場合も多いのであるⅰ 。
貴社では、海外源泉の売上高割合%はどのくらいだろうか。いわゆる「外資系企業」の場合は、言うまでもないが、国内本拠の「内資系企業」でも、もうグローバリゼーションは足元で始まっているのである。
これと似たような言葉で、「国際化」というものもある。国内マーケットだけでなく、海外市場を開拓しインターナショナルな関係を築く、などということもある。国際化という場合は、なんとなくグローバリゼーションというほど尖った意味ではなく、もう少しソフトな物の言い方といえる。国際化とは、海外にも販路を広げるという程度のマーケット拡大というような意味内容を持っている。
国際化という言葉はもう定着しているので、とりたてて議論するまでもないともいえるが、国際化という言葉を使うときは、あくまで国内中心であること(日本が全部という視点)に留意する必要がある。つまり、あくまで海外も新市場として外延開拓するという意味にすぎず、国内の本社や支店の事業戦略が、直接海外の影響下に入るだとか、戦略自体が全世界的に展開する中での日本に過ぎない、などという理解(日本が一部という視点)は、そこには、存在していない。
グローバリゼーションという場合は、国際化という場合よりもっとインパクトが強く、経営戦略自体をグローバルに定義して決定し、それをグローバルに推進する中で日本もその一部に位置付けられるという、つまりインテグラル(integrated into global strategy)という全世界的な「統合」的意味内容を含むところに、重点が置かれている。国際化は他国や他地域への拡散的展開や取り込みに過ぎないが、グローバリゼーションは、全世界的なバランスの下に、本社が戦略について決定と実行を行う統合作用を意味するものといえる。
そうすると、本社が戦略について決定と実行を行う統合作用が存在する場合は、日本に本社を置いていても、他所の国たとえばスイスに本社を置いていても、グローバル企業だということができる。グローバリゼーションにおいては、「本社機能」をどこ(どの国・地域)に置くのかは、地政学的な意味やそこに本社を置くことが他の国・地域に置くよりコスト的に有利であり効率が良いこと、人材育成と採用の便宜さにおいて有利であること、あるいは人材のモビリティの大きさなどの要素で、決めることになる。
とはいえ、本社機能を日本に置くのか、海外に置くのかという決断は、単に経営陣の「グローバル化したい」という気まぐれな欲求や情緒的な判断でなされるのではない。では、いったいどのような判断基準で、本社機能のロケーションをグローバル企業は決定しているのだろうか?
EU は様々に異なる地域性を中に含んでいて、その中でもとくに欧州本社機能を EU のどこに置くかは、実はグローバリゼーションの問題を内に含んでいるといえる。そこで何が起きているかというと、ヤフーは今年 3 月、欧州本社をロンドンからスイスに移し、インターネットオークションの米イーベイは、欧州本社機能だけでなく世界の管理機能統括本部をベルンに移しているという。
こうした動きは、このような米国企業だけでなく、日本企業にも表れ始めている。たとえば、日産自動車では、経営管理、経理部門、営業部門という欧州地域統括機能をスイスに移転している。ところが、サンスターの場合は、もっと徹底しているのだ。それは、欧州本社機能を移すというのではない。日本の大阪府高槻市にあるサンスター本社機能自体をそっくりスイスに移転させようとしているのだ。
サンスターでその決断に突き動かした事情とは、人口減少の日本国内では消費財の代表的な商材であるトイレタリー用品の需要は頭打ちだということにあった。そうなると世界市場を相手にしたグローバル企業への脱皮が必須となったわけである。そして、その準備は着々と進行していて、この戦略変更に伴う組織変更に合わせて、受け皿の持ち株会社をすでにスイスに設立済みで、他方、サンスター株式の日本での上場を廃止している。まだまだ海外売上が小さいサンスターであっても、一気にグローバル化させるという荒療治により、自社の「成長戦略」を一気に加速させる事業計画なのである。ⅱ
ここに掲げたようなグローバル企業が欧州本社を「スイス」に置いた理由には、以下のことが挙げられているので、ここで紹介しよう。ⅲ
1. 「生活の質」
(たとえば、高級レストランなど食文化、アウトドアライフが満喫できる、賃貸住宅の質が高い、英語が通じる、多文化国家で外国人がよそ者扱いされないなど。海外転勤させる場合に生活環境が整っていることは、本社機能を移転するからという理由であれ一片の辞令で他国に人事異動させる場合、米国人経営層にとっては高い生活の質確保ということは必須ということなのだろう。)
2. 「政治的な安定性」
(言い換えると、政府権限がそう強くなく、企業への規制が弱いということ。規制を好まない金融業が発達している所以でもある。)
3. 「低税率・税制上のメリット」
(低税率戦略をとってきたアイルランド・ダブリンを除けば、スイスは意外にも低税率で、たとえばチューリッヒでの法人税実効税率は 22 %である。これは米国の 40 %、ドイツの 29 %、日本の 41 % ⅳ に比べてかなり魅力的とはいえる。日本と異なり、事前に税率などを税務当局と合意しておくことが可能であること、つまり税率はあくまで制度上の「上限」であって交渉の余地があるというのである。また、個人の所得税も、米国やドイツの所得税(社会保障費を含む)は 30 %を超えるが、チューリッヒでは 25 %前後なので、大幅に低いといえる。)
4. 「国際的な人材確保の容易さ」
(多言語を理解する人材の確保、つまり一人で英語とフランス語を理解できる人材を確保することをドイツで実施するのは困難であるが、スイスなら容易であること)
5. 「産学協同」
(大学が企業の研究開発に積極的に関与する土壌があること)
6. 「自由度が高い雇用制度」
このうち、最後の「自由度の高い雇用制度」つまり雇用制度の柔軟性というのは、人事の角度からはとくに注目しておく必要がある。これは、ありていにいえば、解雇のしやすさを意味している。もちろん無闇に労働契約を無理由解除できる、ということをいっているのではない。スイスでは、病気を理由に解雇できないなどの労働者保護ルールは存在している。他方で、退職手当を支給するなど金銭解決できるという実際上の運用がある。つまり、会社の事業方針の変更や要求する研究開発スキル水準の高低により、容易に解雇することで、戦略にアラインメント(整合性)を組める人材をより容易に新規に採用できる環境を提供できるという意味をもっているのである。これは、人材と戦略との統合や一気通貫性を容易に組めることが、機動的で効率的な経営をすることのできる大前提だと考えられているからに他ならない。ⅴ
グローバル企業の場合は、全世界的な戦略の実行が必要なので、こうした機動経営が可能となる法的環境の整っている地域のほうが、そうでない地域より本社を置くのに相応しいロケーションだということになる。
そうなると、このようなグローバル企業では、確かにそのロケーションにこのような「柔軟な」雇用慣行があるがゆえに本社機能を置いたにしても、他方で、支店や現地法人のあるその他地域 (the rest of the world) では、それと異なる「硬い」雇用慣行があるのだから、その間で、人事制度上の不連続ないし不均衡あるいは何か不都合な問題を生じさせないかどうかは、それはそれでかなり大きな論点となる。ⅵ
前回までのコラム(「人件費の変動費化について」シリーズ)に見たように、日本では、少なくともリーガルの面では「硬い」労働法制が存在しているのだから、いきなり、柔軟な労働法制下にある外国所在本社からのエキスパット (expatriate 海外赴任のエグゼクティブ) が何の予備知識なしにそれを理解するのは確かに困難なことが多い。これは日本拠点をもつ海外のグローバル企業のエグゼクティブが日本に赴任してすぐによく直面する課題である。
しかし、こうしたローカル性を帯びた「労務コンプライアンス」も、グローバル企業にとっては、実は大変重要なプラクティスなのである。なぜかというと、対処を間違えるとそのこと自体が本社の倫理基準や行動基準に合致しないことにもなりかねないからである。それだけでなく、「隠れ債務」などファイナンス上の問題を抱え込むリスクがあることは前述したところ(「人件費の変動費化について」シリーズ)である。日本など the rest of the world の出来事も、財務的に連結対象であれば自動的に内部統制の枠がかけられる。 そのため、企業のグローバリゼーションにとって、ローカルの制度への理解と適切な対応(適法性の確保)は、実は表裏一体の関係にあるといえる。これは「異文化理解」という問題だといわれることもあるが、実は「異文化理解」以前の、ビジネスとしての基本動作の問題なのであって、スイスでも US でも日本でも全く同じである。
(この稿続く)
-------------------------------------------------------------------------------- ⅰ 海外売上高比率上位は、三井海洋開発【100 %】、竹内製作所【97 %】など中堅企業からホンダ【85 %】、日産自動車【79 %】、キャノン【79 %】という数字になっている。(会社四季報 2008 年 2 集 春号 東洋経済新報社による) |
外資系企業で使用される英語には、「SME」 という単語がある。これはソニー・ミュージック・エンタテイメントという意味ではない。small & medium (sized) entity つまり「中堅企業」のことを指す(「中小企業」と訳されることもあるが、いわゆる小規模零細企業のことは、普通は意味しない)。
では、「MNC」 とはどういう意味だろうか?
「MNC」 とは、multi-national company の省略形である。といっても、Multi-national company という意味 (semantic meaning) もじつは自明ではない。たまに「多国籍企業」と訳されることもある。正確には a firm having operations in more than one country, international sales, and a nationality mix of managers and owners. というわけである。
つまり複数の国家にまたがって、製品市場、工場、研究開発 (R&D) 部門などを持ち、世界的視野で意思決定を行う企業のことをいう。単なる貿易ではなく、事業そのものの拠点を海外に持つ特色がある。かつては、エクソンや GE、トヨタ、デル・コンピューターなどの巨大製造業を念頭に置いた用語だったが、今や、中堅企業であっても MNC の範疇で活躍する企業も出てきているし、タタ(インド)やサムソン(韓国)など非欧米企業も含まれる。製造業だけでなく金融業もある。日本企業でもパナソニックのように MNC の定義に当てはまる企業は数多いのだ。
「松下」は、ブランド戦略上、「パナソニック」に社名変更したが、すでにグローバル化していることでも有名である。日本本国での組織文化と多極化した地域での事業活動との間をいかにフィットさせるかという、マクロとミクロの課題解決にむけてもパナソニックの経験値は高い。たとえば、150 を超える事業単位ごとマクロ・ガイドラインを設定してあり、他方、それぞれの地域ごとに子会社が現場でミクロ・テクニックを使ってガイドラインを変更して柔軟かつ適切に適用できるようにしてある。
具体的には中央でのマクロ・ガイドラインとして以下の 6 つの原則を採用している。
(1) どの国にあっても、抜群の善良な企業人として活動すべし
(2) 自社の持つ最高レベルの技術をどの海外事業にも適用せよ
(3) 日本人赴任者(expat)の数を減らせ、現地の人を代わりに仕立て上げよ
(4) 現地工場のルールを現地にまかせよ、現地従業員のスキルに合わせて微調整せよ
(5) 現地での R&D (研究・開発)を推し進め、現地市場で受容される商品を投入せよ
(6) 現地橋頭保の工場と日本国内の工場との競争を奨励せよ
このようなマクロ・ガイドライン(大原則)の下で、現地の事業単位独自の組織文化を醸成した結果、たとえばマレーシアのように 23 工場で 3 万人が就労する事業を成功させた。日本人はわずか 1 %未満である。年間 130 万台の TV、180 万台のエアコンを製造し、その 75 %をマレーシアから輸出している。日本人以外は、マレーシアの人種モザイクのとおり、マレー、中国系、インド系、イスラム系それぞれに食事や宗教的対応を進めてきた。その結果、かつては「日本の工場に追いつけ」がスローガンだったが、今や品質でも効率性でもともに日本国内工場をしのいでいる。従って今や日本との比較はもはや論外なのだ。
とはいえ、マレーシアという土地柄や文化が、もともと多様性を受容してきたことも大きな成功要因だといえるだろう。日本も、彼ら現地のヒトにとっては、「もうひとつの異文化」だというにすぎなかったという幸運がある。
このことを見ても、MNC にとっては、異文化交渉が本国だけからみたものではなく現地からみても本国との間の異文化問題なのだという双方向性をもつという、実に当たり前のことに気づかされる。
また、ヒトは現地と深く結合しているから、進出する相手国や土地の選択も成功のカギを握る事実も思い知らされる。
そして、マクロ原則とミクロ調整幅というゲージング・ツール(距離測定手段)をもつことで、多(異)文化性 (multiculturalism) と多様性 (diversity) を巧妙に管理・操作できることをも示している。
反対に、日本で活躍する外資系企業においては、日本人マネージャー・スタッフからみれば、パナソニックのマレーシア現地拠点から見た同じ風景・立場といえる。現地側としては、本国(本社)に対してどう対応すべきかについてパナソニックのケースは多くを語っており、いろいろな意味で参考となる方法論といえよう。
ところで、「企業は中長期的な持続的成長 (sustainable growth) に向けて、MNC 化する」と捉えるナンシー・アドラーさんは、その著書の中で「多文化組織の段階的進化」(Phases of Multicultural Development) について分析して表にまとめて述べているので、その一部を紹介しよう。
特徴や行動 | 第 1 段階 Domestic Corporation | 第 2 段階 International corporation | 第 3 段階 Multinational corporation | 第 4 段階 Global corporation |
---|---|---|---|---|
目標 | 商品とサービス | マーケット | 価格 | 戦略 |
競争戦略 | 自国の内需 | 複数の国の内需 | 多国籍化 | グローバル |
商品政策 | ユニークさ、新商品開発 | より規格品化 | コモディティ化 (完全規格品)
| マス・カスタマイズ 開発技術と生産技術の双方重視 |
技術開発費 vs 売上の比率 | 高い | 低下する | 非常に低い | 非常に高い |
利益水準 | 高い | 低下する | 非常に低い | 高いがすぐ低下する |
市場 | 狭い | 大きい 【他国の内需を 目当て】 | より大きい 【国境なし】 | 最大化 【全世界グローバル】 |
組織構造 | 機能で分けた部署
| 各国地域別の機能でわけた部署
| 事業単位を地域別に編成 中央集権 centralized | Global alliance, hierarchy Coordinated, decentralized |
ⅰ
これは企業の国際化の程度を異文化対応の側面ではジグザグの過程ととらえている。
彼女によれば、まずは純粋国内企業の製品の外国輸出に始まり、国際化するが、それが第 2 段階に進めば、自社の方法論や生産物を相手国の市場に合わせなくてはならない事態となる。これら第2段階では文化的多様性のもつインパクトは大きいが、第 3 段階になると、今度は「価格」こそが、最も普遍的競争力を生み出すことに気づき、文化的多様性の重要性は相対的に薄まってゆく。しかし第 4 段階に達すると文化的多様性はもう一度非常に重要な意味内容をもつにいたる。
このナンシー・アドラー氏の「組織進化論」によれば、人事的な意味での異文化交渉の場面はどのようにその性格を変貌させていくのだろうか?それを見てみよう。
第 1 段階では、企業は本質的に内需型であるからその組織文化の中で、外部顧客に対しても、社内顧客である従業員に対しても、「異文化交渉」が生じる余地はない(内需自体が異文化性を含む場合を除くが、日本の場合はそれほど顕著ではないだろう ⅱ)。
ところが、第 2 段階の国際企業 (International Corporation) の場合は、反対に海外輸出や海外生産に焦点があたるため、当然のことながら、文化的多様性は多大な意味をもつ。海外顧客や海外雇用の関係があるからである。特にこの段階では海外赴任マネージャー expatriates に多くを依存するため、多様性の方向は「インサイド・アウト」つまり社内から社外(海外)へという方向での外への強い拡散的モーメントが働くことになる。
ところが、第 3 段階 Multi-national company では正反対になり、社外の文化的特異性に対応する要請が相対的に薄まり、むしろ社内での凝縮性にスポットライトが浴びることになる。その理由は、Multi-national company では世界各国出身者をマネージャーとして採用するからである。そこではむしろ社内での多様性をいかにコントロールして「凝縮性」を与えるかに腐心することになるというわけである。彼女によれば、Multi-national company ではいかに cross-cultural management skill を養成し、それをいかに階層レベルに埋め込んでいくかということが極めて重要だと指摘している。
第4段階のグローバル企業では、Multi-national company として社内での多様性確保と同時に、顧客、サプライヤーなど社外への拡散的な意味での多様性追求の二つの側面が同時に要求される。(この点では、最新の知見として「コークの味は国ごとに違うべきか」 REDEFINING GLOBAL STRATEGY バンカジ・グマワット著 参照のこと。 ⅲ)
さて、グローバリゼーションについて、現状の売上高の多くの%が海外源泉であるという指標は何を意味するかというと、今後の成長戦略上、海外の持つ意味がそれだけ大きいということである。そうであるならば、むしろ積極的に事業の成長を図るために海外企業をターゲットに M&A (合併や買収)を敢行することをも経営戦略としては大いに意味をもつことになる。
たとえば、英国では、FDI (海外企業の英国への直接投資 Foreign Direct Investment) の約 2 割から 3 割を M&A が占めるに至っているほどである。日本の場合の FDI の統計値はどうなのだろうか?それはさておき、それほどまでに海外からの投資の受け入れにオープンで積極的な英国では、最近日本企業からの M&A の動きが急だ。
日本企業の外国企業対象の合併・買収を IN = OUT 型 M&A と定義すると、この IN = OUT 型 M&A の割合は、OUT = IN 型、IN = IN 型を含めた全体の M&A のなんと 60 %以上を占めるという事実がある。これは、財務内容が健全で手元資金が豊富な日本企業が、より激化してきたグローバル競争に勝ち残るためにマーケットシェアの拡大をめざしたものである。株安と円高という追い風が背景にあるのはいうまでもない。これは主に日本企業による米国企業の買収が目立った動きだったが、他方で、三菱レイヨンによるルーサイト・インターナショナル社の買収が第 16 位にランクされていることや、日本たばこ産業によるガラハ―買収、東芝他によるウエスチングハウス(WH)社、日本板硝子によるビルキントンの買収など、英国企業をターゲットにした買収がそれぞれ 1 位、4 位、5 位にランクされているのが注目される。 ⅳ
日本には特殊な分野で非常に高い技術力をもつ中堅企業が多い。たとえば、昭特製作所。この企業は、TV カメラの雲台、ペデスタル、クレーンなどテレビ局用各種機器の製造で国内トップシェアをもつ、ニッチトップの企業である。また防衛関係の仕事も持っている国内派内需企業でもある。この企業が、2005 年ロンドン郊外、ミドルセックス州ステインズに工場を含む現法を設立したのだ。
普通、メーカーの海外進出といえば、大手企業のことだけだと思われがちだが、この企業は、資本金 9900 万円、従業員 360 名である。では、なぜこの企業は英国に進出したのだろうか?
それには二つの理由がある。一つは、日本市場の飽和と海外市場の成長、そしてもう一つは、提携先の英国企業が買収され従業員がリストラされてしまった緊急事態への対処だった。英国は従来から同社の生産拠点だったのに、その英国企業が閉鎖されたというのである。そこで退職した英国人従業員を吸収して工場を建て直し、「日本国内の納入先への責任を果たす」ことにしたというのである。もちろん英国政府もこれを支援し、その支援により鋳物・ダイキャスト製造・部品加工・塗装など細かく多岐にわたる現地中小企業の協力を確保できたという。ⅴ
このように単に成長をめざすだけでなく、成長を「維持する」という目標にも M&A は大いに役立っているといえるところが、非常に注目される所以である。この企業の場合は、ナンシー・アドラー氏の「組織進化論」によれば、第3段階の Multi-national company の段階にあるといえるだろう。
このように、M&A の動機や背景は、より企業価値を増大させたり、シェアを拡大して価格支配力を増したり、従来顧客の実需を失う危険を忌避して機会損失を防ぐなどである。そして、これらの要素の測定は、様々な経済原則と合理的な評価つまりデューディリを行い、その結果、買収という結論が出る話ではあるが、他方で、買収したらすべて自社のものという考えだけで従来の事業や従業員を捨てたりすることは決して得策ではない ⅵ。なぜなら、ヒトこそ企業の成長源泉だからである。そのため、ヒトにかかわる部分は、新しい経営体制のもとで慎重に事業戦略とのマッチングとアラインメントを測定することが必要になる。人事「制度」のデューディリはそのごく一部にすぎない。
実質的には、従業員サイドが新しい経営体制に満足しエンゲージメント度合いを高めることができるかどうかが、M&A の成功かどうかを決める重大要素となる。その結果、事業価値を高めることのできなかった M&A は失敗だといえるのである。とりわけ MNC においては、第 3 段階 Multi-national company や第 4 段階 Global company においては、人事上の多様性 diversity 確保や多(異)文化交渉スキルを持ち合わせることが、特に人事上(および社内研修のテーマとして)たいへんに重要なカギを握ることになる。
ⅰ From International Dimensions of Organizational Behavior, 1991, pp.7-8 by Nancy J. Adler.
ⅱ ytv 「カミングアウトバラエティ 秘密のケンミンSHOW」は、日本各県独自の製品嗜好が他の県や地方に、場合によっては隣接県にさえ全く知られていないという側面を面白おかしく紹介しているTV番組である。
ⅲ ハーバードビジネススクールの教授の手になるこの本では、フリードマンの「フラット化する社会」に対して、世界を消費者のニーズという観点から捉えると、グローバリゼーションは進展しているというよりも、国ごとに大きな差異が残る、セミ・グローバリゼーションの時代といえる、と主張している。多国籍企業が世界各国への進出した例のなかから、失敗と成功を取り上げ、どのような 戦略をたてるべきかその分析手法を説明していく。 たとえば、スターバックスは禁煙という文化を日本に持ち込むことにより、女性層という新たな消費者を作り上げたとか、マイクロソフトは中国では検閲という文化に悩まされ、中国が変わるというよりも、マイクロソフトの方が変わっていくかもしれないとか、マクドナルドもインドでは羊肉バーガーがある(日本では月見バーガーがある。)などである。要は、現地の「感応度」へのリアクションの強弱がグローバル企業の経営戦略を左右するということだろう。日本コカ・コーラの缶コーヒーは、コカ・コーラ本社(ジョージア州)の反対を押し切って日本で開発した商品で、非協力的な本社へのあてつけから 「ジョージア」と命名された、とか、ローカルな戦略が成功している例を紹介している。コカコーラというグローバル企業の歴史的なグローバル戦略変遷についても興味深い。そしてグローバル化しない要因を、文化的、政治的、地理的、経済的要因に分類して分析している。
ⅳ 以上、株式会社レコフデータによる。【英国へ。活発な動きを見せる日本企業のM&A】駐日英国大使館 SPARK 誌 2009 年夏季号 株式会社レコフデータ高橋豊社長インタビュー記事参照。
ⅴ 駐日英国大使館 SPARK 誌 2009 年夏季号 昭特製作所 花田薫社長インタビュー記事による。
ⅵ 駐日英国大使館 SPARK 誌 2009 年夏季号、株式会社レコフデータ高橋豊社長の見解による。
前回に引き続き、グローバリゼーションの進行とそれに対する人事の対応というチャレンジングな課題についてさらに深く考えてみよう。
「日本企業による米企業の買収が増える。国際展開に迫られ、参入機会をうかがっている。」
これは別に日本企業の対米進出非難バッシングの言葉ではない。これは、米アンハイザーを買収したベルギー・ビール大手インベア社の代理人を務めた米大手法律事務所サリバン & クロムウェルの大物弁護士フランシス・アキラ氏の言葉である。ここで彼が言いたかったことは、要するに、米国の M&A 市場を活性化し株式相場テコ入れに貢献してくれるキーパーソンとして、日本企業を挙げているのであるⅱ 。
その背景には、2009年7月の世界規模でのM&A市場は2004年9月以来となる1000億ドル割れとなり、米国企業対象の直接的なM&Aは1〜7月で前年比47%の大幅減少となり、これが株式相場の勢いをそぐ恐れがあるという指摘があるのであるⅲ 。実際上、M&Aが材料となって買われた銘柄が堅調だⅳ 。
もし、このサリバン & クロムウェルの大物弁護士フランシス・アキラ氏の言うとおり、日本企業の米国企業買収にアクセルが踏まれ、また、レコフデータ社長高橋豊氏の言うとおりⅴ 2009 年後半にかけて内需型日本企業が成長機会を求めて、多業種において海外企業を積極的に買収に動くとなると、日本企業の MNC 化はなお一層激しいテンポで進行することとなる。
そして、それはすなわち、ナンシー・アドラー氏の「組織進化論」によれば、日本企業が M&A を通じて、第 3 段階 Multi-national company や第 4 段階 Global company に変貌するということを意味する。
そこでは、人事上の多様性 diversity 確保や多(異)文化交渉スキルを持ち合わせることが特に人事上(および社内研修のテーマとして)たいへんに重要なカギを握ることになることは前号でお話したとおりである。
3 年前に売上高が 2 倍あった英国企業ピルキントンを買収した日本板硝子。「小が大をのみこんだ」と注目される半面、「本当に経営ができるのか」と懸念もされたが、結局トヨタやホンダの成長についていくためには(自動車用ガラスの製造がメインだったので)海外展開が避けられないという理由で、当時日本板硝子よりずっとグローバル化が進んだピルキントン買収が必要だったのだ。この1年間日本板硝子社長を務めたのは、元ピルキントンのチェンバース氏であるⅵ。同氏によると、「リーマンショック後 M&A が失速気味だが危機感をもつ大手企業は(M&Aに)動いている。新興国が台頭し、多極化する世界に軸足を置かなくてはならない。」と明言する。さらに「それには自己資本増強が不可欠だし、停滞した事業と成長が期待される事業との入れ替え作業も必要だ」と事業戦略についても喝破する。
スチュアート元社長によると、「グローバル化で重要なのは、海外企業を買収したら報酬や人事制度などで日本流をおしつけないことだ。」という。「当社の役員の構成を見てほしい。買収前は 19 人いて、全員日本人だった。今は規模が 3 倍になって 25 人に増えたが日本人は 11 人。残りは英国人、イタリア人など 4 カ国の出身者だ。世界は変わった。だからそれに合わせて企業統治も抜本的に変えるくらいの覚悟が必要となる。」ⅶ
ここで注目されるのは、海外企業を買収したら、報酬や人事制度について、日本流をおしつけないこと、つまり報酬や人事制度のグローバリゼイションが必要だということである。
買収したらすべて自社のものという考えだけで従来の事業や従業員を捨てたりすることは決して得策ではないⅷ 。なぜなら、ヒトこそ企業の成長源泉だからである。そのため、ヒトにかかわる部分は、新しい経営体制のもとで慎重に事業戦略とのマッチングとアラインメントを測定することが必要になる。また、従業員サイドが新しい経営体制に満足しエンゲージメント度合いを高めることができるかどうかが、M&A の成功かどうかを決める重大要素となる。
たとえば、資生堂は、海外法人の現地採用社員を日本本社や他の現地法人の経営幹部に起用する新人事制度を導入するというⅸ 。資生堂は、新興国などでの営業を強化し、8 年後に海外売上高比率を50%超に高める経営戦略を持っているⅹ 。国・地域で異なっていた「人事評価基準」を統一し、2010 年度から本社などへの異動を実施する。海外事業強化に向け、世界規模で優秀な人材の活用が不可欠と判断したのだ。
これは、前回解説したナンシー・アドラー氏の「組織進化論」によれば、日本企業が MNC として第 3 段階 Multi-national company や第 4 段階 Global company に達したときの人事的対応そのものである。たとえば、従来は日本本社から現地法人に対して社長など経営陣を派遣し、現地採用の外国人生え抜き社員がそのまま経営幹部に昇進するケースはあっても他の国・地域で幹部に就くことはなかった。しかし、実はこのような第 3 段階 Multi-national company では社外の文化的特異性に対応する要請が相対的に薄まり、むしろ社内での凝縮性にスポットライトが浴びることになることは前述した。その理由は、Multi-national company では世界各国出身者をマネージャーとして採用するからである。そこではむしろ社内での多様性をいかにコントロールして「凝縮性」を与えるかに腐心することになるというわけである。ナンシー・アドラー氏によれば、Multi-national company ではいかに cross-cultural management skill を養成し、それをいかに階層レベルに埋め込んでいくかということが極めて重要だと指摘している。
資生堂では、この新制度導入に合わせて、現地法人幹部の職務や実績、所属現地法人の事業規模などを「総合的に勘案して」 20 数段階にランク付けする世界共通のグローバル評価基準を設けた。従来は現地法人ごとの基準で人事評価していたのである。この新基準で対象者 330 人(米国、中国、フランスなど 17 カ国・地域の 26 個の現地法人の幹部たち)を再評価しなおした結果、現地法人「社長」でも国によっては他国の現地法人の「部長クラス」と同等の評価になるなど、位置づけが明確になったのである。そして日本の本社幹部(日本人) 800 名も同一基準による評価を適用することになる。
これは筆者のかつて所属していたあるグローバル企業でも全く同じ状況であった。グローバル基準での「レベル」と称する人事ランク付けがあり、その要件が定められていて、専門スキルセット、経験値、責任の範囲、部下人数、売上高(事業規模)、研修受講歴、海外経験などでランクのバンドが決まっている。そして、所属する現法の評価基準や組織上のポジション・地位が、この世界ランキングレベルに「読み替え」されるのである。人事はダブル・スタンダードでの評価となる。報酬も、expatriate の場合は、この世界ランキングレベルのほうに連動することになる。
こうした人事制度のグローバル基準化が進むと、世界規模での異動ルールが策定できることになる。そうなると、同一現地法人内で幹部ポストが空かない場合であっても今までは「上が空かないのでポストなし」として昇進できなかった(そのため転職せざるをえないことがある)が、他の現法や本社に横滑りして新たに大きな昇進ポストに就ける可能性が広がることになる。これは組織上のインセンティブとして非常に大きい意味をもつ。何のためにヒトは働くのか?を考えると、この改革のもつインパクトは大きいものがある。
では、ナンシー・アドラー氏の定義に従い、日本企業が MNC として第 3 段階 Multi-national company や第 4 段階 Global company に達したとき xi の人事的(制度的)対応を策定するとき、具体的にはいったいどのようにしたらよいのだろうか?
たとえば、帝人には、世界基準でのキャリアディベロプメントのロードマップがある。帝人は、繊維を軸にして化成品や医薬品に事業を広げてきた。この多角化は国境を超え、売上高の 40 %を海外で稼ぐ。総勢 2 万人の帝人社員の約半分は外国人だ。海外展開が進む中、その活用が課題となり、国籍を問わずに優秀な社員を登用することが必要となった。そこで STRETCH と称する MDP (management development program) を運用し、部長・課長の選抜・育成のプロセスが確立した xii 。(森田義一専務執行役員 CHO (グループ人財責任者)
同氏によると、このグローバル人事制度を当初どのように設計したかの経緯としては、複数の合弁事業を行っていたため当時はまだ人事部員だった森田氏がこの(合弁相手)米化学会社の人事部に派遣され、6 週間にわたって当該グローバル企業の人事制度を学んだことが STRETCH の原型となったという。つまり、同業のグローバル企業の人事制度を学習し、それを基本に帝人流にアレンジして導入設計したのだ。
しかし、人事部長のみなさんの中には、人事は個々の会社によって異なっているし、ヒトも組織風土も違うのだから「他社の人事制度などは見ない!」と公言する方もいらっしゃる。「外部コンサルタントの力を借りることはあるが、決していいなりにはならない」ともいわれることもある。
筆者は、別に他社事例やコンサルタントの言いなりになることをおすすめしているのではない。そもそも「ペイ・ライン」つまり給与水準などは、同業他社あるいはさらにそのポジション(階層)別の業界水準を調査するのがむしろ通常だろう。まして、グローバル企業での同業他社 xiii のケーススタディは、「peer analysis」として十分意味がある。また、「バランスト・スコア・カード」で分析してみても、事業サイズも戦略も似たような企業であれば、「学習と成長」の部分も組織体系も、その基本線は収斂してそれぞれ似てくるだろう。だから、目標とするグローバル企業の人事評価基準を研究し、それを学習(真似)して自社向けの「土台」とすることは大いに意味がある。その上で自社なりの戦略的要素を加味すればよいのである。何もないところ、つまり、全く未経験の領域にトライアンドエラーでチャレンジするよりもよほどリスクが小さく、逆に人事という分野での成功・失敗事例を事前に知ることができるのだから、それは大いに価値がある方法論なのである。
また、外部のコンサルタント企業に依頼して一見して理想的にみえるものを「納品」してもらう方法論もあることはあることはあるが、しかしよく考えてみていただきたい。実際に運用するのは、自社の人事部であり、自社の「戦略人事」を理解し真にグローバル企業のヒト育成責任を自覚し、かつ、グローバル人事制度について「オーナーシップ」を有する人事担当役員なのである。その策定(将来の改定も視野にはいる)の方法論もこうしたグローバル・リーダシップの反映そのものなのである。
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内需型日本企業が成長機会を求めて、多業種において海外企業を積極的に買収
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日本企業のグローバルなM&Aとグローバル経営人材の育成
読者諸氏にとっては「デカップリング」という用語は、あまり聞きなれない言葉かもしれない。デカップリングとは、昨年来のサブプライム問題の中で、米国だけが景気減速するのに対し、中国はじめ新興国では高い成長率を維持して景気は堅調に展開していくから、両方違った方向に動いていくという意味(読み)である。いや、そうではなく、同じ動きになる、つまり米国経済を原則とする世界経済全体の景気が悪化する、というのが「リカップリング(動きが一緒に連動)論」というわけだったのだが。
日本もEUもアジア各国金融市場も、リーマン破綻に端を発する「投資銀行」崩壊、ドル信認危機と円独歩高、株価大幅下落という最近の情勢を見ると、ブラッディ・オクトーバー(血みどろの10月)と名づけている人(1) もいるくらいで、米国の金融危機の影響は「各国それぞれ責任をもって」とせせら笑っていたEUをもあっという間に巻き込んだ (2) 。新興国Bricsも同様であるから、かくして、世界の株式市場は米国経済次第だという現実が見えてきた。一時期流行した「デカップリング」を唱えるエコノミストは、もう姿を消してしまった。実際、金融セクターの危機は、公的資金注入によるAIGの破綻回避はあったものの日本の大和生命破綻に至り、実体経済にも影響を与える結果となり、それを総力挙げて、というより、なりふりかまわずに阻止するために、たとえば重要な制度改革の方向性さえ一時停止する動き、すなわち制度会計上、時価会計の見直しさえ主張され検討されるに至っているのが現状 (3) だといえる。
こうした「金融経済」のもたらす「実体経済」(Real economy)への影響・結果として、世界経済成長率は0%という世銀見通しが発表されている(2008.12.10日経=日米欧はマイナス成長、中国インドも減速)。そして、世界企業「ソニー」もエレクトロニクス部門で1万6000人をリストラ(正社員8000人を含む)日本・北米・欧州・アジア各地域で5-6工場閉鎖を計画している。これは同事業部門全従業員16万人の5%にあたり、同事業部門の生産高の半分以上は日本でまかなっていることからみて、日本での雇用調整が大きくクローズアップされている。これだけのヒトを失うことによりソニーのエレクトロニクスものづくり「DNA」が残せるかどうかが、問われている (4) 。この傾向は、トヨタ、キャノンなど大手製造業に共通して現れている「実体経済」への影響であるが、しかし、これは何も製造部門だけではない。実体経済は実際上労働市場にただちに影響する。金融経済ではそれは最も直接的に現れる。破綻したリーマンの欧州部門を買収し、2650人の人員を10月に吸収したばかりの野村證券も、来年3月末までにロンドンで最大1000人規模での人員削減を行うこととしている。
そもそも野村証券のケースでは、ヒトの承継を目当てにリーマンの顧客基盤やノウハウを引きついで一気に投資銀行業務を拡大しようとする事業戦略の下にM&Aを実行したのに、M&Aによる事業拡大の目標達成はこの人員削減で事実上困難になってしまっている可能性が高い。その営業・顧客基盤やノウハウはまさに「ヒト」に付属する無形資産であるからだ。この場合、M&A実行の「とばくち」となる入口の動機は、「戦略人事」だったといえる。しかし、当てにしていた資産を失ったら、M&Aの目的は達成できたといえるのだろうか。モノは償却できるが、ヒトは償却できない。巨額の現金で無形資産(ヒト)を買ったけれど半年後には雲散霧消したというのなら、M&Aの帳尻は大きなマイナス資産(負の暖簾代)を抱え込んだことになるわけで、大きな損失を抱え込んだことになる (5) 。
大新聞の報道には現れていないが、外資系金融機関の新卒採用は大幅削減され、内定取消も相次ぎ、「入社2年目で解雇するケースもある」という(6) 。シティグループなど、本国はもちろん日本法人や日本支店も例外でなく、日興シティグループでも「リストラで多くの人員が辞めている」ともいわれている (7) 。リーマン日本法人の1100人を引き継いだ野村ホールディングスもバークレイズに100人が「移籍」し、そのほかにも100人が離職したという。辞めてはみたが、専門ノウハウを持てば持つほどその部門じたいまるごとなくなってしまう同業界の中では再就職できずに困っているという話は多い。こういうことで、デカップリング論の終焉と金融危機は、最後に、事業戦略と一体化した形で、人事部門のみなさんの仕事が「出口」となる。まさに入口も出口も、「戦略人事」という言葉がマッチする事態となっている。
ところで、人件費というときはヒトは費用計上の対象であり、「出るを制する」場合、人件費は前述のようにコストカットの対象になりやすい。では、ヒトは「費用」なのだろうか?
勘定科目上、ヒトそのものは資産とはみなされていないが、将来の成長と収益をもたらす原動力である無形「資産」でもあるといえる。Human Resourceというとき、ポジティブな意味合いはそこにあるといえる。(10)ところがBS(バランスシート)にはヒトの資産価値は一切現われては来ない。
逆に、反社会的勢力にのっとられた上場企業などは企業価値を毀損する「隠れ負債」項目として「ヒト」マイナス資産となる(8) 。最近では、こうしたコンプライアンス上の問題(これはまさにヒトが引き金を引くリスクであって、モノに無関係の問題)が「隠れ負債」となることもある。大新聞ではあまり報道されていないが、伊藤忠のモンゴルとの建機販売で、3国間貿易で生じた1000億円規模の架空取引の問題など、決算訂正を要する深刻な事態となっていること (9) も、数年間にわたり発覚しなかったことからみても「隠れ債務」というべきものとなっている。このように、本来的にヒトは資産だということを再認識するべきだと思う。もちろん多くはプラス資産であるが、場合によってはこのようにマイナス資産であることを含めて。
このように、プラスにしてもマイナスにしても、人事はBS上のブラックボックスといえる。これは、ヒトからもたらされるリターンと人事評価体系との結びつきが説明されていないことが主原因である。ヒトがもたらすリターンという効果を念頭に人材要件が定まり、さらに企業の求める戦略的な目標(財務、事務、顧客、教育の4つのスコアカード)への貢献度合から報酬体系を決める(非金銭的報酬を含む)というロジックをたどれば(そしてその報酬体系が、企業損益と関連づけられるものであれば)、ヒトからもたらされるリターンを何らかの形で客観的に認識することができるはずである。 ところが、このような試みが十分実証されていないことから、M&Aに悲劇性や博打性(?)がつきまとうのである。これはなにもM&Aの場面に限らない。たとえば地方の工業団地に資本投下して工場を建設する場合に、どのような現地採用計画と本社人員の再配置をするのか、だとか、海外進出して工場を建てたときに、企業誘致の現実を前に期待と現実の違いを認識して戦略的なフィージビリティを適正に行えるかは、すべてヒトからもたらされるリターンを認識しようとする実践的(実戦的)試みだといってよい 。(11)
M&Aのレコフによると、この10年間で外国からの日本へのM&A投資案件数は、日本から外国へのそれの「3分の1強」しかない、という (12) 。つまり大幅な出超だということは、外国からの日本へのM&Aという形式での投資は、相対的に魅力がない、ということを示している。もしそうなら、日本は外国から見ると「金融経済」における投資対象ではあっても (13)、「実体経済」においての投資対象ではない、つまり日本で事業をする「商内(あきない)」の対象ではない、ということを示しているに他ならない。
その理由は、なんだろうか。
それは外国人からみると、おそらく日本市場(企業)における「人事体系のブラックボックス」性であり、もっと根本的にはヒトのリターンへの考え方の違いに由来すると思われる。日本人はそもそもリターンにこだわらない。働くこと自体に喜びを見出す…..というように、リターン意識が非常に強い外国人の目からみると、これが理解できない(あるいは異なって見える)場合には、直接投資して自分で商内(あきない)して事業からリターンを得ることを狙うよりも、間接的に株を取得し、そこからリターンを得るほうが手っ取り早くかつリスクが小さいと踏んでいることを意味する。言い換えると、外国資本のステップインのしかたは、M&Aという(ヒトのリスクを含む)組織統合形態ではなく、日本企業の組織には手を触れずに果実を手にする形態を選択している、といえる。実際上外人株主の割合が50%以上という上場企業は少なくない (14)。このような日本企業の内部では、自分たちの会社が「外資系企業」であるという自覚は、ない。
ところが、勇敢にも日本マーケットの「商内」に入ろうとする外国の会社も、もちろん、ある。すでに日本法人をおいている「外資系」は実は数的にはかなり多い。これで歴史のあるところは人事(報酬・評価)体系もしっかりしており、場合によっては本国との連携もされているので、人事のブラックボックス化を克服しているともいえるだろう。このように成功した日本法人を基礎にして、さらに他の日本企業を買収しようとすれば、それはいわば「IN-IN]のカテゴリーであって、外資による買収とはもはやいえないとさえいえる。しかし、かなり多くの外資系企業は、まだ日本法人(在日支店)の規模がごく小さく、歴史も淡く、人事体系も整備されていないところも多いのが実情だ。そこではまず実績を出すことを求められるから人事インフラ整備は後回しにされがちだといえる。たとえば、まず売上増大をめざすのであればとにかく売上ありきであって、人事コストには眼が行かない。次に、ようやく売上だけでなく実はボトムラインも重要だという段階になって、今度はいざ人事体系がそれに貢献しているかどうかを検証しようとすると、本国の人事体系をそのまま持ち込もうとするなど、人事運営上のコンフリクトが絶えないなどという事態に陥る。
低調なOUT-INとは逆に、日本企業の海外進出(IN-OUT)は、つい最近の円高基調と日本の金融機関のサブプライムへの直接コミットメントの低さなどから、むしろこれを一世一代のチャンスとみて積極的に「打って出る」傾向が強かった。たとえば、三菱UFJフィナンシャルグループによるモルガンスタンレーへの9000億円出資(20%の筆頭株主)で取締役派遣へという過去最大の海外金融機関へのM&Aをたった2日間で決定しただとか、破綻したリーマン・ブラザースのアジア・欧州業務を2億2700万ドルで野村ホールディングスが買収し、「10年かかる事業基盤を一夜にして入手することができ、この話に乗らなかったらバカだった」といった話(COO柴田拓美氏 )(15)など、枚挙に暇がない。これに先立ち実はみずほコーポレート銀行はメリルリンチに12億ドル出資する一方、三井住友ファイナンシャルグループは英バークレイズに10億ドル出資していたし、損保最大手の東京海上ホールディングスが米フィラデルフィア買収に47億ドル、英ロイズの著名シンジケート・キルンを4億4200万ポンドつぎ込んで買収している。このようにOUT-INと異なり、IN-OUTの買収案件は数も増え大型化している。これらはみな「金融経済」での動きとも見えるが、その背景には、「実体経済」でのグローバル化が背景になっていることが注目される。たとえば、ブリジストンやSONYのように先行するケースだけでなく、トヨタ自動車やパナソニックのように輸出企業の生産拠点のグローバル化、さらには日本たばこ産業や旭硝子のように内需中心企業さえ日本の人口の少子高齢化を受け海外マーケット志向を強烈に強めていた。彼らはみな金融経済の担い手の主要顧客層であり、それらが先行してグローバル化していたわけである。
いままでの先行した内資の外国進出の成功要因のうちヒトの要素はどのようなものだったのだろうか?
ハリウッドに進出した「ソニー」のように、今まで日本以外の外国企業でさえも成功していなかったことをあえてやってみるというのは、その決断に相当大きな動因(主観的な動機だけでなく、そうしないと事業ドメインのイノベーションが出来ないという戦略的な切実さ)があったことは確かだろう。それが人的色彩の強い事業分野であればあるほど、現地のヒトのスキルとリレーションに「まかせる」ことをしないと成長は失速することになる。しかし、そこでは、事業活動そのものはまかせても、あくまで方向性と経営ボトムラインの維持(つまり投資した日本側のリターンの確保)という部分は経営の根幹としてつねに尻尾をおさえておくという「まかせて、まかさず」の戦略人事が大きな効果をもつ。最後は、誰が決定者か?(Who is your boss?)で決着をつける。(最初からこれをやらない、ということ。)
海外への工場進出という場合は、どうしても生産現場のベテランを工場長や現地法人社長に送り込むことが多いが、そうなると、立ち上げの成功や生産工程それ自体は合理化されるが(これも特に外国語の能力にすぐれていなくても、「現場力」があれば全然かまわない。やってみせれば生産現場は納得する)、本社リターンつまり本社への財務報告(これが自身でなく現地のCFOや現地人経理マネージャーが作ることになってしまう)について十分の知識と経験がないために、工場(現法)経営の成長戦略(市場、商品、事業分野戦略)を共有できないで終わる危険が高い。生産工程の合理化という特定目的があっても、日本で生産業務しか携わったことのないベテランを社長として送り込む場合はサポート体制とくにCFOは日本から送り込むという補強を要することもあるだろう。
このように日本から送り込まれるヒトたちの「人選」について、戦略的考慮を行っているかどうかは、人事のグローバル化をIN-OUTで推進するときの大きなポイントとなる。そこでは外国語能力は必ずしも必須ではない。MBA資格も必須ではない。たった一人(あるいは少数の同僚日本人)で送り込まれるのである。「めげない、強い精神力」(家族を含めて)と「違った文化をオープンに受け入れるというキャラクター」の持ち主であることが必要だ。しかし、事前にこうした潜在的適性を測定する客観的努力がされているかどうか、かなり疑問はある 。(16) 次に、こうした特性をもつヒトが人選されたとしても、現地では、どのようにマネージしたらよいかについて普遍的なパフォーマンスを身につけ「PDCA」をまわすというクリアなメッセージを徹底的に送ることも重要だ。「徹底的に」というのは、安易に例外を作らず原則を押し通す、という、ある意味での「わかり易さ」のことをいう。
また、「まかせてまかさず」政策をとる場合は、外国人責任者を本社(在日本)のボードにいれる(取締役に選出する)ことも非常に意味がある。ボード・ディレクターになりたい、という気持ちは現地実力者にとってはとても大きな意味があるようだ (17)。高額の報酬よりも、こちらのほうがインセンティブになるのではないかとさえ思われる。
もちろん、M&Aの場合も、新規投資で進出する場合も、事前のフィージビリティ・スタディが決定的に重要で、そのフィージビリティ・スタディ・チームの「人選」も戦略的人事となる。たとえば、機先を制する取引ができる程度に深く相手側を知り尽くすことができる人材かどうかを基準に、そのメンバーの得意分野、長所・短所、経験値の把握、社員か外部アドバイザーの選択、そして何よりも重要な「チームリーダー」の選定(これで失敗するケースが多い)である。
現地社長派遣に伴う最後の課題は、「交代」である。ヒトの交代は、必要なこととはいえ、業務継続性の仕組みづくりは内部統制上も重要な要件だ。いきなり前任者の方針を否定したり、戦略変更をすると、別の会社に変わってしまったかのような誤解を現地で与えることもあり、現地スタッフが離職することさえあるため、場合によっては危機管理的側面からの準備が必要なこともあるだろう。
(1) 2008年11月3日Garbagenews.comのコラムニストによる命名。 (2) 2008年12月19日日経、シュタインブリュック独財務相。
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さて、前回に引き続き、内資の外国進出の課題に関わる戦略人事に話をすすめよう。
かつて野村證券は、英マーチャントバンクを買収して投資銀行業務の拡大を狙ったそうだが失敗し、1970年代にはロスチャイルドやドイツ銀行とともに日英独連合を組んでグローバル運用サービスの強化をはかったこともある(1)。結局、野村證券はM&A仲介に特化した形でロスチャイルドとの提携を2005年成立させたが、今回のリーマン・ブラザーズ買収により投資銀行業務を整理し、リーマンとのプラットフォームで成果を出すのを優先するためにロスチャイルドとのM&A業務提携を解消した(2)。収益性からみると、賭けに近かった(しかし儲けも極端に大きかった)自己勘定取引やプライマリーブローカレッジ業務は縮小せざるをえないから、従来のリーマン流(レバレッジ先鋭型)ビジネスモデルはそのままでは継承できないとすると(3)、M&Aの助言や証券引受やトレーディングで稼ぐ(儲けのより少ない)「普通の手数料モデル」の業務を継承することになるだろうが、それすらも野村にとっては、収益多極化とリスク分散の見地から極めて魅力的だと映るのだろう。
問題は、日本の野村證券が外国の投資先をきちんと管理していけるかどうかで、人員を引き受けてノウハウを継承しても本当にマネージしていけるかどうかが最大の課題となる。「野村の成功は、リーマンの有能な社員をつなぎとめておけるかどうか、そして成功を収めたリーマン文化のプラス面を新しい環境下で確実に存続させられるかどうかに大きくかかっている。しかし、日本の金融機関によくある官僚主義的で内向きな文化は、攻撃的な欧米のバンカーと緊密な関係を築く上で障害になる」として警鐘をならし、「邦銀は欧米の資本主義の救世主にはなりようがない。(4)」と断言するヒトもいる。果たして、リーマン社員の士気維持のためボーナスを保証し、国際的思考を経営陣に取り込むために3人の旧リーマン所属外国人取締役を野村の取締役に据えるだけで、成功は保証されるのだろうか。野村全社員の40%が外国人になるのなら、もう人事のグローバル化は決定的な流れになっているといえる。もしかしたら、社長が外国人になることでしか、「チェンジ」はできないのかもしれない。そもそもその昔、野村がのどから手が出るほど欲しかった英マーチャントバンク(現インベストメントバンク)買収を断念したのは、「結局のところ外国人をマネージできない」ということが決定的理由だったという話もある。ところが、自然にグローバル化した(中国籍)人材をうまくマネージできずにインサイダー取引を引き起こした野村の最近の事件(5)をみると、それが、今回どのようなストラテジーで大量のアングロサクソン系外国人をマネージできる、と読んだのか、そこが最大のミステリーだ。
内部統制の理論(会社法の論理)からすると、取締役は株主総会で独自に選出することになっているが、実態は、代表取締役の腹心の従業員を指名することが大多数である。そして会社から独立であることを法律上求められている社外取締役も、実は社長の知り合い、友人であることは多い。それが現実であり、株主総会がそれを否決することは(お家騒動やMBO崩れを除き)ほとんどない。そうして選ばれた、コーポレートガバナンス・内部統制の主役である社外取締役も、また社外監査役も、社外であるがゆえに会社の「実務を知らない」という点で本質的な弱点を持っている。こういう情報の質量の片面性を克服するために、ヨーロッパでは「社外取締役のトレーニング」がクローズアップされているくらいである。ということは、逆に、「実務を知悉していること」はexecutive directorの条件となる。
なにやらきな臭い書き方の新聞記事見出しであるが、これはミステリーでもなんでもない。人事を見ると、社長COOにチェンバース氏が選任され、取締役・執行役12名のうち5名が英国人となっている。AUTO事業は、当社中核事業の自動車向け板ガラス部門、BP(Building Products)は、建築材料を意味し、当社売上高2007年度約8000億円のうち、AUTO部門4000億円、BP部門3200億円となっていることから、その事業トップが「実務主導」である以上は「ピルキントン主導」となるのは当然の成り行きだといえるだろう。しかし、当社は委員会制度を採用しており「指名委員会」「報酬委員会」等は依然日本側が握っているから、実務はピルキントン、経営は日本板硝子という形ともいえる。
他方、チェンバース氏は、ピルキントン生え抜きではなく、もともと英国籍だがブルネイ生まれで、大卒後ロイヤルダッチシェルで10年、スナックメーカーで10年、当時経営再建中のピルキントン入社、この3社目で社長となった経歴の持ち主で、日本板硝子から買収提案を二回蹴った後、結局買収された後もピルキントン社長のまま、逆に日本板硝子の社外取締役に就任しその後同社のAUTO/BP統括をしていたことからすると、相当タフで実務能力に長けた人材であることがわかる。(8) 株主価値最大化をめざすなら日本板硝子COOに最も相応しい人材といえるだろう。リーマンを買収した野村證券は、この事例についてどうみることだろう。
結局このままチェンバース氏が日本板硝子COOでいられるかどうかは、期待された収益性のハードルを現有の人員(日本人社員を含む)で生み出すことが出来るかどうかの一点にかかっているといえる。チェンバース氏が日本人役員・従業員をうまくマネージできればよい。様々な国々を巡り現地社員をマネージしてきた同氏にとっては、面白いjobではあっても危険なjobではないだろう。日本人社員にとっても、仕事のやり方(管理方法や営業戦略)は変わっても、そのことで今の日本人社員の実力が落ちることはなく、むしろ新しい管理手法などに慣れればそれはかえって実力がさらに発揮できる職場に進化したともいえる(9)。人事のグローバル化は、実力あるヒトにとってはとてつもなく大きなチャンスとなる。
逆に、英国ではOUT-INについてどう思っているのだろうか?
英国企業への外国企業の経営支配はかなり開放的だといわれている。たとえば、在ロンドン企業の25%はすでに外国人(外国資本)経営であり、92カ国から13510の外国企業のホームとなっている。むしろEU各国が保護主義に走り勝ちなのに、ひとり英国は他のEUの国のようにいたずらに制限をかけてはいないと強調しているくらいだ(10)。しかし、これは単純に英国が外資買収に寛容だということを必ずしも意味しない。だからこそ英国は国を挙げて「競争力ある人材」育成に血道をあげているといえる。(11)
このように外国資本のステップインは、日本でも遠い世界の話ではなく、被買収外国企業の外国人社長が日本の買収企業の社長になるほど現実的な話となっている。収益の海外源泉率が50%を越える企業は急増している(12)。最近の輸出産業株の大幅下落の中で内需株が買われているが、内需株チャンピオンのユニクロでさえも、かつて失敗した海外販路先の再進出を狙い、海外製造拠点も中国以外の地域に急激に拡大している。対顧客・対社内の異文化コミュニケーションは売上増大に直接寄与する有力なスキルになってきた。日本企業に雇用され、日本人に囲まれた会社生活を送りながらも実は異文化コミュニケーションをこなせる駆動モデルを自分の中にもたないと目標達成ができない時代となった。これが人事のグローバル化の現実である。
では、その日本人に必要な「異文化(13)コミュニケーション能力」とは何だろうか。それは外国語能力では、ない。
この5つのキャラクター・バスケットを身にまとっていることが必要だ。というのが私の持論・仮説である。人事のグローバル化の中での「戦略人事」は、究極的にはこうした異文化コミュニケーション能力をもつヒトの(日本人も、外国人も)パフォーマンスによる出力を最大化するように企業活動のあらゆる領域をコントロールすることだ、と筆者は考えている。
しかし、そうはいっても、どれほどグローバル化した日本企業の中であっても、日本人だけでチームを組むときは、互いに上記の5つのスキルを正面に出せば、それは非常に鬱陶しいことはなはだしい、とはいえる。1)~ 5)のスキルは、学習して身につけるパフォーマンスつまり「演技」であるから、スキルを使わないときは、自然体のつきあいでやりすごすという「のりしろ」が会社生活にないと、日本人同士「いい感じ」の関係は築けないだろう。あくまでグローバル・ビジネスの現場で使用するスキルと自然体との「使い分け」をすることがビジネスパーソンにとっては必要だろう。
日本人は、ドイツ人と違って個人的感情を重視し、他人の気持ちを思いやったり、集団の調和を重んじる。もちろんロジックも大切にするが、それと同じくらい感情を大切にし、一体感を重視し相手の気持ちを傷つけないように気配りする。ドイツ人はロジックは大切にするが相手の感情やどう思うかについてはかなり乱暴というかはじめから気にしていないフシがある。この違いは、もしかしたら土地の空気の違い、気候の差ではないかとさえ思える(14)。ヨーロッパの夏に比べたら日本の夏は非常に湿度が高く暑い。ヨーロッパの夏は、緯度のせいもあり寒いくらいで、湿度も低く、乾いていて汗もかかない。ドライなのである。ドイツ人たちのこのドライさはもしかするとこういう気候が由来しているのではないか。ドイツではいかにして相手の心に傷をつけずにコミュニケーションするかというスキル研修もあるくらいだ。こどものときに、こういうことを学ぶ機会がなかったのだろう。その意味で外国人であっても長年日本に住むヒトの場合ウェットな気候に馴れていつの間にかメンタリティーがかなり日本人に近くなっている外国人が多い気がする。
こうしてウェットな日本人はいわゆる〈重い〉組織を作ってしまいがちで(15)、一人でも反対が出るだけで意見がまとまらなくなったり、人々の間で真剣な議論を「戦わせる」ことが避けられたりする。そのような状況では「和」を重んじることそれ自体が目的化してしまい、本来の目標が見失われてしまう。事業活動に中心が置かれるべき組織の方向性が変質している証左といえる。
このようなときに5つのスキルを演技することは議論の閉塞状況を解き放つことにつながる。日本人のウェットな関係を適度にドライにすることでバランスを回復させ自由な思考を取り戻すことができる。オフサイト・ミーティングでのミーティングも居酒屋議論との違いをもたらすのはこのあたりの勘所を押さえることで初めて意味を持たせることができる。つまり、5つのスキルは日本人同士のコミュニケーションの「和」に緊張感を与え、意味のある結果を出力することに非常に役に立つともいえるのだ。(16)
では、日本企業の中の日本人同士のコミュニケーションにも、他国(異文化)に比べて「強み」があるのだろうか?
それは、言わなくてもわかる強い「現場力」、平和で「長期的な」関係作り、旺盛な「好奇心」、集中的な「問題解決能力」だ。(17) こうした「日本人(日本企業)の強み」が生きるのは、むしろグローバル化した日本企業の中で異文化コミュニケーションスキルを要する舞台の上だ。その意味で、人事のグローバル化は、このような日本人の強みを生かして、同時に5つのスキルを使いこなして、コミュニケーションすることで議論の付加価値は倍加させることができる、それは、いわば「人事のデカップリング論」だ。組織の中の日本人・外国人どちらか一方にベクトルを合わせる「リカップリング」ではなく、「デカップリング」つまり独自にそれぞれ違った強みを生かした形で組織を成長・活性化させることを意味する。
よく「ダイバーシティ・マネジメント」という言葉が使われるようになってきたけれど、実はそれは男女・外国人の混合比率を上げたり待遇を合わせるということを意味するのではなく、「異質な個性を持つ集団の生産性が同質な集団よりも『トルク』が高い」「だから、多様性と異質性にこそ進歩と変革〈=イノベーション〉の芽があるのだよ」「そのため平時においても会社は、多様性や異質性を意識的に(戦略的に)創出して、進歩と変革の機会を提供するのだ」というロジックを主張しようとしているメッセージにすぎない。これが人材育成の方向性であり、研修のゴールでもある。(18)
経済ではデカップリング論は終焉したが、人事の世界では、多様性・異質性を作り出し、異文化コミュニケーションをさせて、ことさら〈軽い〉組織を作ることで、全体が一丸となってすばやく戦略を生み出し実行していく、そのような人事デカップリング論の「実践」こそ、今後の日本グローバル企業の成長の駆動力となることだろう。
1 新潟産業大学経済学部紀要第29号山本利久氏「マーチャント・バンク」 2 東京12月12日18:44ロイター
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「グローバル人材育成」そして「グローバル人材マネジメント」は、収益機会を海外に求める企業にとって、成長戦略の要です。
単に海外売上高の割合50%超へ、という財務目標値をたてるだけでは勿論不十分です。
そのためのサプライチェーンマネジメントなどのプロセス作りと顧客基盤開拓などのマーケティングがなくては、その目標は達成できません。ここはしっかりと業務目標を定め実行することが必要です。3カ年計画できちんと書き込むことが大切です。
そして、もっとも重要な要素が、グローバル人材の育成です。
このことを認識している企業は多いのですが、それを3カ年事業計画の中にしっかりと書き込んでいる企業は少ないのです。
グローバル人材育成の要は、なんでしょうか?
ミッションを共有すること、海外展開を支える日本人社員、日本採用の外国籍社員、そして現地採用社員との一体化されたオペレーションが成功のカギです。
そこでは、共通して「現場重視」、「経営スキル獲得」、「最前線のリーダーシップ」を発揮できる人材こそが求められます。
まずは、
実務スキルある日本人社員の異文化コミュニケーション能力獲得
ハイポテンシャルな外国人社員を採用すること
日本人と外国人の社員が交わる職場のコミュニケーション力を高め、圧倒的な生産性をアップをめざすこと
制度的な手当てとして、グローバル戦略に即応できる「グローバル人材プール」を作ること
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グローバル人材育成については、ぜひとも、当社にご相談ください。
事業のグローバル化に歩調を合わせて人事政策もグローバル化が求められています。
人事部門を取り巻く最近の動きとして、人事部の名称変更、新たにグローバル人事部の創設、経営企画部や総合企画部への機能移管などです。
グローバル人事部(機能)とは何なのでしょうか?
それには2つの内容を含んでいます。まず、第一に、日本人社員の内向き傾向を打破し、グローバルリーダーシップを身に着けてもらう政策と、第二に、外国籍社員の登用と定着・戦力化という二つの内容です。そしてその内容は異なっています。
ステージ | 赴任前研修 | 赴任中の支援 | 帰任後の人事 |
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人事上考慮すべき事項 |
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解決のポイント |
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外国籍社員のグローバル人事
外国籍社員のグローバル人事は、上記の日本人に対するグローバル人事と全く内容を異にしています。
グローバル人事といっても全く意味が異なっているのです。
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自分の中で異文化だと感じたことに対し、仮説をたて検証してゆく作業がストレスを溜めない方法でもあり、異文化を前向きに受け入れられる最善の方法であるということが印象に残った。今までの自分の受け入れ方は、後ろ向きだったため、ぜひ実践したい。
コミュニケーションに不安を感じていたが、海外でのコミュニケーション手法を学ぶことができ、少し自信がついた。4つのコミュニケーションスタイルを使い分け、早めに人間関係を構築したい。
決算書類のいろいろな個所で粉飾が隠され数字の判断の仕方次第で良くも悪くも解釈できることがわかりました。企業情報を普段からいかに多く入手するかがポイントで損害を被らないために有効かがよくわかりました。
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