ショールズ博士は、現在立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科准教授、NPO法人異文化教育研究所所長(JII)、そしてNHK教育TVの人気番組「ニュースで英会話」の講師など大活躍の方です。
当社は、PICOを開発されたショールズ博士のもとで積極的にビジネスパーソンへの適用と運用を行ってまいりました。その関係で従来より極めて密接に相互協力を行いながら、PICO分析の高度化、とくに実社会・顧客企業の実需に応じてまいりました。
このたび当社のグローバル化支援事業の一段の強化のために、これまでの共同作業の延長線上に、ユニバーサルブレインズのパートナーとして、主として異文化コミュニケーションの理論と実践により深く関与していただけることとなったことはこの上ない喜びです。
ショールズ教授のように英語教育においても異文化コミュニケーションの手法はたいへん意味深いのですが、同様に、当社の過去の社内ワークショップ実践の経験からもビジネス分野においてもたいへん汎用性があることは証明されています。
今後グローバル化が人の面でもさらに加速されるとき、日本のビジネスパーソンがグローバルプレーヤーとして、そしてグローバルリーダーとしてチャレンジしていくことを支援するために、異文化コミュニケーションのトレーニングは必須のテーマとなってきます。
当社はショールズ博士との共同作業をさらに進化させ、研究成果に貢献するとともに、ビジネス分野へのコラボレーションと応用を強化していきます。
当社は、そのことによって、グローバル化を加速させる日本企業の戦略実施を強力にサポート申し上げ、お客様のより良き発展にさらに貢献するべく、意気高くはりきっております。ぜひとも引き続きよろしくお願い申し上げます。
2011年7月1日
ユニバーサル・ブレインズ株式会社
代表取締役
笈川義基
どのようにしたらグローバル人材に変身できるのか、グローバルリーダーになれるのか、という疑問をもつ方も多いのです。
実際、グローバルリーダーとかグローバル人材に実は学問的な定義など、ないのです。
私のイメージとしては、グローバルリーダー・グローバル人材とは、「仕事で世界に通用するプロフェッショナルな人、そして目的に向かって人々を動かす能力を持つ人」です。
まず仕事ができること!達人であることです。そして、目的を意識してそれをメンバーと共有してその人たちを巻き込みながら結果を出し続けることができる人です。決して語学堪能が第一の要件ではありません。
— では、語学力(英語力)は条件ではないのでしょうか?
まったく語学力がないのに、プロフェッショナルで人々を動かす影響力のある人はいるものです。それでもグローバルリーダーなのでしょうか?
しかし、国内にいたとしても、その職場に外国籍社員がいて隣の席に座ったとしたらどうでしょう。新入社員の30%を外国人とする会社もあるくらいです。ある日突然に今の会社が外国の会社に買収されることもあるのです。ある日貴方自身が外国拠点に配置されることもあります。外国人との接点は、実は日本国内にいても、多岐多彩に広がってきています。
レポーティングラインが外国人になると、身の処し方、コミュニケーションの取り方、どれをとっても(上司が外国人であるから)グローバル化せざるをえません。
今までのように「無意識」のうちにしてしまう日本的な曖昧な物言い、以心伝心では事が運ばなくなるからです。「意識」してグローバル人材に変身せざるをえません。
外国拠点・支店に駐在員としてローテーションされても、現地の上司(社長)が日本人であれば、実は全くグローバル人材に変身する必要などないのです。
それは日本においても上司や同僚が外国籍社員となれば自分がグローバル人材に変身せざるを得ないのと同じことで、環境が外国でも上司・同僚が日本人であれば関係性は日本人同士と同じだからです。
外国駐在でも日本人上司の下で、プライベートでも「日本人村」で過ごすのですから、東京から大阪に赴任したと同じことなのです。
いずれ時間がたてば東京本社に戻れるのですから、ローテーションの一部にすぎず、そこで何をするのか、戦略を実施するなどという「だいそれた」ことなど考えることなく過ごすのです。
ですから、現地ローカル社員との交流を上手くやってその力を使って目標を共有しながら活動するというグローバル人材としての行動パターンがとれないことになってしまいます。
その個人の行動様式まで深く踏み込んで現地での成功を引き出していく関係性構築はただの「お題目」になってしまうのです。
ローテーションなので、特に何のために(海外)赴任するのか意識することがないのです。個人として海外赴任の目的、事業戦略を意識する方がどのくらいいらっしゃることでしょう。
それを会社側から明示され合意し議論する機会などないのが実情なのです。
ローテーションではなく、特別の「意味」をもつ赴任であること、その「意味」とは何か、海外勤務を経ることの独特の社内プラス評価要素とは何なのか、キャリアの美点評価となるのだという位置づけを明確にする、という「全社的な人事政策」として取り込まれることが大切なのです。
海外勤務についてその間に個人として、人間として大きく成長する、というstrategic growthこそが、グローバル人材政策の最も重要なことです。
その結果、自分とは違ったものを許容し、「なあなあ」の解決ではなく、本質的なものの解決をめざすこと、しかも先送りせずにその場でスピード感をもって決断しただちに実行すること、知識や背景事情などを細かくコミュニケーションして説明し、なぜそれをしなくてはならないのか(日本ではいちいち反芻したりしない根拠づけ)をクリアにロジカルに共有すること・・・そのような行動様式をとれることがグローバル人材の本質だと思います。
それは日本に帰国して国内の職場に移ったとしても、それは大きく人間的に成長したビジネスパーソンになれるのです。
海外駐在員に対する「帰任政策」と一口にいいますが、このように深くpersonal growth strategyを語ることこそ、最も重要な会社のグローバル人材育成へのコミットメントといえると思います。
戦略人事は、「人事は戦略のためにある」と考えます。人事はそれとして独立して存在するものではないからです。
日本企業がグローバル化するためには戦略的にグローバル化対応のための人材を育成する必要があります。それは深く事業戦略に関係するがゆえに、トップマネジメントの問題意識の強弱がその実現に強く影響を与えます。
少子高齢化などの環境変化から日本国内の市場が狭隘化しつつあるために、今や海外進出により海外売上高を上げることこそが残された成長戦略になりつつあります。
その現状認識から、では、どのようにいつまでに何を施策として実施していくかが問われています。
そのために、どの地域にどの費用をかけてどのくらいの売り上げ目標を立てるのか、という事業戦略(選択)がまず課題になります。
そして、それを支えるためのビジネスフローをシナリオ化していきます。何をどのようにすれば、その目標を達成できるのか、それは、単なるプレゼンテーションの美しさではなく、実際に実現可能かどうかにかかっています。
トップマネジメントの今や使命となったグローバル化へのシナリオを、ここで整理してみましょう。
グループ経営戦略 | 市場分析・競争分析・SCM構築分析合理的な分析に基づく中期事業計画・3年計画(数値目標で海外売上高x%増しなど) |
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グローバル組織・ 人事戦略 | 「グローバル人事部」機能の位置づけ、グローバル化関連役員会 |
グローバル人事戦略の 方針 | 海外拠点長(経営人材)の選抜、日本人海外要員の養成、外国人社員の当社一体化と戦略・戦略共有。 |
グローバル人事の オペレーション(運用) | 失敗からの学習(単なるローテーションに終わらせない)、グローバル人事体系の構築、選抜体系、帰国後の人事体系・キャリア体系、社員個人の海外適応個性分析・成長支援、外国人社員の李テンション政策 |
グローバル人材育成は、経営戦略の土台になっています。
それは単なる語学教育ではありません。小手先の断片的な知識の伝授でもありません。
グローバル人材育成は、この経営戦略目標との関連でそのコンテンツが決まってきます。
グローバル人材育成のコンテンツは大きく分けて次の二つです。
グローバル化を目ざす、ある日本企業の場合を例にとって、検討してみましょう。
研修背景 | 中期経営計画にあるように、2015年までに海外売上高比率を30%まで引き上げるという目標が設定されている(現在その割合は16%)。その達成のためには、グローバルビジネスに対応できる人材を短期間で大量に育成する必要がある。 |
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人材育成施策の目的 | ビジネスのグローバル化に対応できるよう人材を育成する。 |
人材育成プログラム | 1)全社TOEIC受験(4月実施) 2)海外赴任候補者に対する語学研修 受講者定員24名とし、各部門より推薦を受ける。定員を超える申し込みがあった場合は、別途調整する。 研修期間:5月第1週から25週間 1レッスン2時間、週1回で合計25レッスン(計50時間) 毎週水曜日18時~20時(ノー残業デーを利用) クラス編成 英語レベル別に1グループ4~8名となるようにクラス編成を行う。 クラス分けの基準は、直近のTOEICスコアとする。 上級クラス:プレゼンテーションとネゴシエーション 中級クラス:ビジネス英語 初級クラス:日常会話 その他 研修終了後、TOEICを受験して、研修効果を確認する。
3)海外留学制度受講者:現在、日本にいながら海外との業務をしている社員(最大5名) 研修期間:3~6か月 内容:欧米のビジネススクールでミニMBAコースに派遣する。 |
このように、どうしても語学教育重視の傾向に傾きがちです。
数値目標が出しやすいことも理由の一つですが、戦略実施のために当社の必要とするグローバルビジネススキル・セットが何かがわかりません。
そして、語学だけがグローバル人材の要件なのでしょうか?
また、内向き日本人をどのように選抜するのか、ラインマネージャーの中からふさわしい人をどのように選抜するのかもわかりません。
しかも外国籍社員に対しての人事戦略は見えてきません。
これでは、グローバルなビジネス戦略実施のための人材育成策とはいえないのです。
さらに、重要なことは、日本企業の場合、「組織で動く」の美名のもとに、①のビジネススキルを過大視しすぎてしまい、意外にも②のパーソナリティの要素を無視しがちです。
それが一般的なローテーション人事では対応しにくい部分なのです。
しかし、考えてみてください。
日本ではありえない孤立無援の状況、知らない物事にでくわし、不可思議で不愉快(愉快?)の人たちの中で、決断し、人を動かし、物事をなしとげなくてはなりません。
それがグローバルリーダーシップの実像です。
それはある意味非常に個人的経験であり、それを乗り越えることで個人の自己成長につながるものです。
そのような無意識の世界にまで人材戦略を落とし込むことで本当に強い個人の力を作り出すことができます。
それにはほんのちょっとした見方の組み換え(フレームワークという考え方)によって可能になることさえあります。感情の制御を含め、個人の力を強くすること、対人コミュニケーション能力を意識的に高めること、そのことこそが、グローバル人材育成の第2のポイントです。
ところが、どうしてもグローバルビジネス競争に勝利しようとして①に目が向いてしまう、それがグローバル化をめざす日本企業の盲点となっています。
グローバルビジネススキルの養成 | 社内ミニMBAコース |
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グローバルコミュニケーションスキルの養成 | 異文化コミュニケーション |
当社の異文化コミュニケーションコースは、異文化理解と強い対人能力の獲得が目的です。そしてこれが当社の最大の特徴となっています。
当社の「グローバル人材育成」ワークショップのメニュー
グローバル人材は、近い将来、企業の求めるスタンダード(標準)になることでしょう。
もちろん海外のオペレーションでは新しい日本人を採用するよりも欧米ですでに活躍してきた日本人駐在員マネジャーを横滑りさせて中国・インドに赴任させるケースも多いのです。そして現地採用の外国人だけでなく、日本国内において国籍を問わずグローバルに活躍できる有能な人材を企業は求めています。そうなると、「内向き志向」のドメスティック会社人間は不利になるかもしれません。「グローバル人材」へと変身が求められます。
それは単に外国語を身につける、資格を身につける、というようなスキルセットを追求することだけではありません。「グローバル人材」に変身するための心理的・組織的な態度をテーマに、異文化コミュニケーションの視点から書き下ろした笈川社長のエッセイをお送りします。
最近、日本の若い人たちが外に出て勝負するなどという強い発想を捨ててしまい、すっかり内攻的になってしまっているということを、このコラムで書いたばかり。なにしろ外国留学に行こうという学生も少なくなってきたので、生きのいい元気な留学帰りを採用する機会も少なくなった。それよりも、日本語のできる外国人留学生を採用したほうがてっとり早い、というわけである。
そのため、新卒者のかなりの % を外国人が占めるようになってきているというⅰ。国内産業の空洞化だけでなく、人材国内市場の空洞化も進んできているということだろう。
外資系の会社で新卒採用をしているところはそう多くはないと思われる。
新卒者は、何ができるというわけでもない人材であって、将来の可塑性、つまり潜在的能力にお金を出すということである。
それは、組織に迎える以上、組織の目的遂行に合致する人材要件を確認しそれに見合う人材を採用するという普通の欧米企業の発想にはなじまない。
日本の国内企業では、組織は所属することに意義がある。外国では、そうではない。
日本の外資系企業を含めて、組織は構成員にとって所属することだけに意義があるのではなく、組織を選び(が選ばれて)そこで構成員が何を実行するかが重要なのだ。
ところで、国内企業が新卒者を採用するにあたり『留学帰り』ということは特別の意味を持つのだろうか。もともと新卒者採用は実務能力ではなく潜在能力を見抜こうとして選抜しているにすぎない。「なんとなく、将来コイツは何かに使えそうだ、今何に役に立つというわけじゃないが・・・」ということで採用するのが新卒である。
そもそも新卒者の能力が『留学』というハク、いや事実が付加されたことによって実務的にそれだけすぐれていると評価できるのかどうか、そのことが問題になる。外国要員として即戦力として採用するという意味以上の意味があるのかどうか、企業の中で採用担当人事担当者がどのように新卒者のその後を観察しトラックレコードをみてその意義を判断しているのか興味のあるところである。
もし、外国要員(派遣要員)として現地でうまく立ち回って当社のために働いてもらうことを目的にするなら、外国人新卒者や留学経験者を採用するのではなく、外国人既卒(営業)経験者を採用して当社なりのトレーニングを実施したほうが現場では役に立つと思われる。
にもかかわらず、(セールスやマーケティング未経験の)外国人留学生や留学経験有日本人新卒者を採用するというのには、単に新卒者採用の伝統枠を維持し新卒者の属性にバライエティを与えるという以上の意味はない。つまり、この問題には、新卒者のうち関東出身者と関西出身者の割合をどうするか、という程度以上の意味など、実は、ないのではないかと思われる。
このような考え方の背景には、人事部は人材供給源の責任を果たせばよい、という人事部の役割意識が背景にある。だから現場の要求には無頓着でもいいし、要員数を確保すればよい。その意味では『強い人事部』なのだ。
人事部採用担当者としては外国人を採用しておくことで、「将来」必要となる海外派遣要員を今の内に確保しておくという算段をしている。そのときになって人材不足だなどと他の役員に言われないようにプールしておくということかもしれない。
本当なら、そのときになって現場で必要な人材要件に合わせて採用すればいいのであって、新卒市場で外国人留学生を採用する必要など本来はないのである。社内に厳然として『新卒採用』という一定のルートないし制度があるので、企業の内部ではそれを前提とした仕事が人事部の『仕事』になってしまっている。
何のために外部からヒトを採用するのだろうか。
そういう根本的な意義や目的をしばし立ち止まって考えるという習慣を日本の企業人はいつのまにかなくしてしまっているように見受けられる。しばし立ち止まって仕事の目的を考える、仕事の意味はどこにあるのかという根源的問いをするということをしないで、毎日の仕事を『流す』のは日本人ビジネスパーソンの得意技だ。コンセプトだとか目的だとか、『めんどくさいこと』は考えない。
ところが、特にヨーロッパ人の知識層出身のビジネスパーソンの中には、ハッとするほど深く考えを巡らし、立ち止まって考えたことをふと口にする人がいる。
ときにはなぜにそこまで深く考えるのか、と逆にこちらが悩まされることもあるが、しかし、こうした深い思考からはこちらにも深い『気づき』をもたらしてくれることも多い。
「内向的で内にこもる」と若い人を評する前に、まず企業人のほうも、深く人事や採用の問題を考えてみることも必要なのではないか、と思う。
では、学生の側にはどんな事情があるのだろうか。その内面では『ひきこもり症候群』に罹患し、本当に海外留学などしたくはないのだろうか。
海外留学したくても実はできない事情があることが最近漸く報道されるようになってきたⅱ。
大学 3 年になると、交換留学生になる機会がある。そこで 2 年生のときにその応募が始まるのだが、実は留学適齢期の 3 年生は、新卒募集つまり就職活動本格化の 3 年秋でもある。つまり留学してしまうと、 3 年秋に渡航することになり、この新卒募集開始の時期に重なり、ES(エントリーシートのこと)を提出できないのである。
昔とは就職市場の運営はおおいに異なっている。
今や、個別企業別の採用はなく一律就職会社の提供するネット上で応募枠や条件を知り、ESを一斉に提出する中で、会社説明会にネットで争って応募し出席し、翌1月から始まる面接を経て、3 月か 4 月に(大学 4 年)には内定が出そろうというシーズンスケジュールなのである。4 年初めには内定が出ているのである。留学するということは、この就職のシーズンスケジュールに合致しない道を選択するということなのである。
企業側が、国際的な人材が少ないとか、ハーバード留学の人数が減ってしまい覇気がなくなったと言って右手で新卒者の内向き思考を嘆くと同時に、実はそのような『シーズンスケジュール』を制度化して左手で留学機会を剥奪しているのは、実は企業側なのである。
もし、これをそでにして、海外留学すると、一年間卒業が遅れ、留年コストがかかることになる。
これは不利である。1 年間卒業が遅れるだけではない。
翌年は、新卒者間では、日本人留学経験者として外国人留学生と競争をすることになる。
実は、「外国語を手繰り、海外でも通用する学生」という括りでは、日本人留学経験者は弱いのだ。
それなら日本の大学に留学にきた外国人のほうが、よほど性格的にも人生経験的にもタフな逸材が多い(全部とはいわないが)。企業側で採用後の働かせ方に自信があれば、同じリスクを取るなら、中途半端な日本人留学経験者よりも外国人留学生を採用する傾向があるといえるだろう。
現地法人では圧倒的に現地国の人が多いのであって、それなら、現地出身者で当社のことをよく知って動ける現地の人材がよいに決まっている。管理者が日本人である必要はない。日本人であること自体を塗り替えることのできない単なる留学は決してハクではないのだ。留学なる経験は、むしろ国内市場だけを相手にしていた時代においてのみ、ハクであり続けたにすぎない。
若い世代が、『ひきこもり症候群』に罹患しているのかどうか、そして「嫌消費時代」の申し子として、人と「争う」環境を嫌い「欲しがらない」世代となってしまったのだろうかⅲ。もう一度考えてみよう。
日本学生支援機構によると交換留学など海外大学との提携協定による留学生の数は、24,500 人。2004 年度よりも 30 %も増えているⅳ。これはどういうことか。『ひきこもり症候群』とは矛盾する統計値である。
よく見ると夏休みを利用した語学研修など 1 カ月未満の短期留学が急増しているのであって、6 か月以上の長期留学者は逆に 1 割減っている。これは海外旅行の変形であって海外留学とはいえないのではないだろうか。そうだとすると、やはり留学志向は若い人の間では確かに減少しているのだろう。企業に入社してしまえば仕事を離れる不利ばかりか、ほんの一握りの人しか社内で海外留学などのぞむべくもないからである。
しかし、「嫌消費」世代の特徴は「車なんて買うなんてバカじゃないの」世代であり、海外旅行には憧れない現実的な世代である。金・収入があっても消費には回さない世代である。
だから内向き志向だといわれるのだが、その世代意識の本質は、「上昇志向」「他者志向」「競争志向」であり、いじめや就職氷河期を経験したことによる「劣等感」であるというⅴ。
それを考えると、実はこの世代は、現実の利を求めての海外志向にむしろなじむのではないかと思われる。
今から留学するのは機会損失が大きい。それなら日本にいながら英語の勉強をすればいい。それに金をかける価値はある。そうして初めて世代の特徴である「上昇志向」「他者志向」「競争志向」を満たすことができるのだ。
企業利益の 50 %以上が海外源泉の時代では国内営業・国内生産で頭角を現すことができる可能性は断然薄い。本質的に、上昇志向であり、もともと競争より協調が大切と考える比率が全世代で最も低い世代である。他者との競争心やサバイバル意識が強いのだから、海外勢との間の競争でサバイバルしようという意識は実は非常に強いのである。就職氷河期の屈辱を挽回するには海外に打って出るしかない、と考えないほうがおかしい、そういう世代なのだ。本当は。
そのためにはまず語学習得しかない、と考えるのは自然のなりゆきだろう。短期語学留学はそれを意味する。実際に外国語学校への入学者数はじわりと増えつつある。経産省の統計ではこの 4 月~ 6 月の入学者数は前年同期比 2.2 %増であり、このところ増勢に転じているという。
それは、「英語公用語」化を公然と唱える会社に社員があおられてのことではない。実際、若手担当者が『インドの開発担当者と意思疎通するのに英語は必須』と考えて、英語学校に率先して投資して、上昇志向で仕事の成果を残して後からリターンを回収するほうが合理的と考えて行動しているからなのである。
かくして、一昔前の語学学校の苦境は、最近はビジネス需要を先食いして結構好景気に切り替わっている傾向があるようだ。
他方の外国人留学生諸氏は、日本のドメスティックな会社に入社することをどう感じているのだろう。
日本人競争者より有利に感じているのだろうか ?
どうもそうではなさそうだ。圧倒的多数の日本人社員の中で、異質の自分がどれだけ成長していけるのか、疑問と不安を感じているに違いない。
聞いてみると、決して単純に有利だとは思っていないようである。
むしろ日本企業の外国人留学生に対する迎合的な態度を感じてより不安度を掻き立てることにもなっている。
本当に入社後に彼らが戦力化することができるかどうか、それは企業側がどれだけ戦略的に(つまり何のためにいつどのように何を期待するかが明確に定義されている形で)外国人を処遇していけるかどうかにかかっているといえるだろう。
その場限りの、新卒多様化の意味だけでの外国人採用だとしたら、それはtragedyだとしかいいようがない。
このことはbig pictureでとらえるとどうなるだろうか。むしろ、日本社会が全体として少子化・高齢化するという根本問題を考えると、年金や労働問題(産業の空洞化により労働者需要が国内で減っていくという)そして福祉をめぐる国家財政の危機は、もしかすると制度をいじるだけでは解決がつかないことなのかもしれない。
たとえば、日本人駐在員がシンガポールなどからの駐在から帰国すると、それまでに住んでいた広い家との差に愕然とする経験はよく聞く話だが、家にいたメイドさんが日本では存在がありえないことにも気がつくことになる。現地ではフィリピン人のメイドさんが多いようだがインドネシア人もいる。それは何も外国人駐在員だけの特権ではない。普通の 30 歳代の現地に住む夫婦にも普通のことである。香港ではそういう外国人たちがお休みになると一斉に集まって情報交換とつかの間の楽しみを見出す場所さえもあるようであるⅵ。
この外国人メイドさんを私宅に入れることには実際は現地でも抵抗があるようであるが、実際は夫婦共働きの現実からは「やむを得ない事情」とされている。その外国人メイドさんを雇う費用は、例えば月額 5 万円ほどだというⅶ。
なぜ、シンガポールや香港で、このような外国人メイド政策がとられているのだろうか。若い夫婦共働き世帯で、子供手当をわたすよりも、また保育園を建てるよりも、外国人メイドを採用したほうが、実は国家としては「安上がりの政策」だと言うのである。
このような形で受け入れの阿鼻叫喚の事態を乗り越えてある年月をかけて人材のアウトサイド・インが自然に国家政策にくみこまれていくとき、初めて日本社会の少子高齢化の空洞化のギャップを埋めることが出来るのかもしれない。
このように社会的な背景が大きく動き出すとき、外国人を採用する企業においても、外国での現地要員としてだけでなく、「国内の要員として外国人を戦力化する」余地が生まれるといえるだろう。
そのときこそ本当に日本人がグローバル競争・共存に一歩踏み出す時代となるだろう。
その時には、もしかすると、ある『日本的なるもの』が溶解を始める瞬間かもしれない。
しかし、そうでない限り、日本人や日本社会が真にグローバル化したとはいえないのではないだろうか。そしてそうならないかぎり日本社会の空洞化と停滞を止めることはできないのではないだろうか。
『日本的なるもの』を失うことの不利益と、リスクをかけて空洞化を止める利益のどちらを選択するのか、目をつぶれば世界はなくなる、というだけでは事はすまない事態になっているように思える。
貴方は、この絵を見て、部屋の中に巨大すぎるリンゴが鎮座しているとみますか?それとも、リンゴはごく普通のリンゴとみて、ミニチュアの部屋に置かれているだけ、と見ますか?
巨大リンゴか普通リンゴか。
どちらも、そういわれれば、そうかもしれない・・・という無意識のうちに自分の認知を限定してしまっている認知構造つまりフレームワークがあることに気がつきます。併せていえることがもうひとつあります。それは、一方の見方で自分の認知が固まれば(巨大リンゴとみる)、もうひとつの認知内容(普通リンゴとミニチュア部屋)は否定してしまうということです。
このことからも、人間に対しても、環境や物についても、その持つ意味内容は、このフレームワークに規定されていることがわかります。
文化も、知らず知らずのうちに自分の見方や価値観などに由来している、この認識の枠組み・フレームワークそのものということができます。
異文化理解とは、この違いを弁別し、認識することから出発することと、考えます。
最近の事業のグローバル化の進展のスピードは非常に速いので、その戦略とそれを実現する人間の足腰つまり組織がそれに追いついていかないおそれもあります。事業のグローバル化戦略と組織戦略というテーマについて、異文化コミュニケーションの見地から書き下ろした笈川社長のエッセイをお送りします。
最近、日本の若い人たちが外に出て勝負するなどという強い発想を捨ててすっかり内攻的になってしまっているという。居心地のよいコミュニティに安住したいという内向き思考が蔓延しているといわれている。
ハーバード大学(大学院ではない)への新入生の留学生のうち、とうとう日本人は一人になってしまったといって、来日したハーバード大学の学長が嘆いていたというのは今年の春であるⅰ。企業に入社して数年の若手社員に海外駐在を嫌う風潮が出ているということも、言われているⅱ。これからグローバル化せざるをえない日本なのに、どうしたことか・・・
『どうしてですか?』とむしろ韓国や中国、東アジアの人たちから質問されることも多い。何事にも積極的な彼らにとって日本人がこういうように内向きになっていることが不思議であって理解しにくいのである。もっと元気になってほしい、という気持ちがあるようである。しかし、そういう彼らが日本に出向いている人たちでもともと外向的なので、外交的な態度で悪気なく聞いているだけなのだろう。
そう聞かれて、「いや、日本のことをよくご存じですね・・・」では答にならない、ただの社交辞令になる。「いんや、そんなことはございません」、と息せき切って反論するほど反対の統計を手にしているわけでもない、かといって得意の「嫌消費世代」論ⅲを持ち出せば話は長くなり相手をキョトンとさせること間違いなしである。そこで、うまく、自分なりに気のきいた答を見つけておく必要があるのである。皮肉なことに、外国人にそういう答をしなくてはいけない自分がいるまさにその状況こそ,It’s a small world なのだろう。
統計値と実感とは異なる。はたして日本人はそんなに内向きになってしまったのだろうか?
日本の上場企業有力 660 社(金融・新興企業を除く)では、直近の 2010 年 3 月期において、国内外の資産合計に占める海外比率が 3 分の 1 を超えたというⅳ。海外資産のほうが国内よりも多い企業も 45 社ⅴと、1 年前より 8 社増えている。
このことは日本企業が急速に海外資産を増やしている、つまり将来の利益の生み出し手は海外であることを意味している。
ヒトは、資産計上はされないけれど、目に見えない資産であることはいうまでもない。その結果、利益でも、従業員数でも、国内よりも海外の方が大きくなっているⅵ。
統計数値だけでなく、実例をみてみよう。自分よりもサイズの大きい英国ピルキントンを買収した( 2006 年)日本板硝子が海外資産比率 85 %というのは筆頭にしても、ホンダも 74 %、オリンパスやJT(日本たばこ産業)も 70 %を超している、それどころか、内需型企業の代表格であった資生堂は、米化粧品大手ベアエッセンシャルの買収やベトナム工場の建設で海外資産比率 56 %に跳ね上がった。
これは 2010 年 3 月期の実態だが、将来の事業戦略ではどうなのだろうか。
たとえば富士通ではグローバル展開を加速させ、2009 年度に 37 %だった海外売上高比率を 2011 年度には 40 %に引き上げる。海外での競争力強化を課題として 1000 億円規模のM&Aを狙う。富士通は、なにしろフリーキャッシュフローで毎年 1500 億円の黒字があるのだから、この円高基調を背景に海外企業のM&Aには絶好期となることは間違いない。
それで対抗馬のNECはどうかといえば、2009 年度で 7000 億円の海外売上高を 12 年度に 1 兆円にまで増やす計画である。特に中国はグローバル戦略の柱として 12 年度には中国事業の売り上げを 09 年度の 2 倍の 3000 億円にまで引き上げる。ⅶ
このように産業統計では、日本企業は内向きどころか逆にむしろ海外へと伸びしろをひろげようとしている。インサイド・アウトの動きである。
内需型企業は、国内生産=国内市場をメインにしてきた。海外資産が国内を上回るということは、海外拠点、工場で働く人たちが増えているということでもある。
海外拠点を新たに構築して生産拠点や販売拠点とする「ホームベース」方式では、具体的には現地生産をよりタイミング良くさらに効率を高めるために、商品開発などの司令塔を遠くの日本から現地のホームベースに移すことになる。
たとえば、『ユニクロ』ブランドのファストリは、商品開発の中核部門は、デザインを受け持つ「R&D」部門と生産管理を担当する「生産部」のふたつだが、この両方とも海外シフトする。それは海外生産の現場に近いほどサンプルチェックなど現場連携を取り易くなるからである。その結果、商品の完成度を上げることができるというシンプルで合理的な施策である。
ユニクロの海外売上高は今まだ 10 %程度だが 5 年内に海外売上高を逆転させる、そのためには生産管理の面でも工場と距離を近くするメリットが出るのだ。
このことは、BtoCの場合はマーケット(顧客)に近いところに司令塔を置くべきだという正しい方法論なので、ユニクロだけでなく、一般的に妥当するロジックである。たとえば、アパレルのサンエー・インターナショナルでは、国際事業の統括組織を上海と香港に移管した。同社は中国と韓国で 90 店舗を展開していて現地の消費者にあった商品の企画、出店地選定などを現地で直接手掛ける。
そして、この傾向はなにもアパレル系産業だけにみられる現象ではない。BtoBでも同じことだ。
J-オイルミルズでは今年のうちにタイに研究開発拠点を置くことに決定した。同社ではトウモロコシから抽出するスターチをタイの関連会社で製造しそれをタイに進出している日本の食品メーカーに供給している
現地に拠点を設け、出荷先の要望に応じた臨機応変の製造開発を円滑にしかけられるようにする。ⅷより現地の顧客(企業)に寄り添うことで競争力を高められる。
これは組織のグローバル化を意味する。これに応じて、匠の技をもつ日本人も、管理能力の高い日本人も、現地に赴く事になる。ヒトの流れも現地駐在が増える傾向になる。人材もインサイド・アウトの流れになる。
ファストリは、海外出店の加速には人材採用と育成が重要として(柳井会長)人材のグローバル化を進めるという。
ここでいう人材のグローバル化とは、日本人が海外に行くことではない。海外人材の採用であるⅸ。2011 年の「新卒採用」は全体で約 600 人のうち半分を外国人にするというx。
M&Aの場合は組織・人材もろとも吸収するから、そこでは新卒ではなく、経営人材の確保が課題となる。すでに現地法人を設立し相当大きなオペレーションを抱えている場合も同様に経営人材の確保が課題である。多くは逆にアウトサイド・インの流れになる。つまり外国人幹部の本社登用である。この動きも急である。
実例をみてみよう。
タカラトミーでは、英国現地法人の英国人社長を 2010 年 7 月に日本本社の欧米戦略担当執行役員にした。執行役員以上への外国人登用は初めてである。アパレルのルックは、韓国人の韓国現地法人社長が 3 月に本社取締役を兼務、ベビー用品のピジョンでは中国現地法人で生え抜きの中国人社員を役員に抜擢、イオンでは、2009 年に米国人を本社執行役にし、戦略・アジア担当の責任者に据えている。
このため、日本中心のドメスティックな人事制度をこうした組織のグローバル化(外国人登用)に合わせて修正することも必要だ。
味の素では海外採用の外国人が別の海外現地に異動できる制度を導入したばかりであるし、資生堂はついに今年後 半から幹部の人事評価基準を各国の現地法人と日本本社で統一化し(職種、職責、実績などを世界共通の尺度で評価する人事制度を導入)、国境を越えた転勤や昇進を可能にする。
花王では、経営幹部の育成システムを日本と海外で一体化する。伊藤忠商事では、海外拠点に占める現地人材役職者(課長級以上)の比率を 3 割から 5 割に引き上げるという数値目標を出しているⅹⅰ。
コマツは 2012 年度までに中国にある主要子会社16社の経営トップ全員を中国人にする方針である。現地市場に精通した人材を登用するという。
しかし、現地人材を登用しさえすればうまくいくわけではない。
コマツの場合、王子光総経理(社長)は営業現場を経験した後に、内部昇格している。コマツの営業力の強さは長年にわたって築き上げてきた地元有力者中心の販売代理店網。ユーザーの声を吸い上げるしくみは作ってある。現場で商品開発とサービス向上にこれをどうつなげていくか、それを日本本社と連携しつついかにうまくやれるかがポイントになる。
このようなロジックが背後にあってはじめてそれに合わせて現地人材要件と妥当する制度が決まってくることに注目したい。任せることも大切だが、その底にはどのように任せるのかについてのロジックが必要だ。「任せて、任せず。」今度は日本人がどのように現地社長陣と一体化して連携していくのかが問われる。
このコマツでは、今年から「第一外国語」が切り替わった。
コマツでは新入社員の英語研修が義務付けられていたが、今春からは中国語の初歩を 2 週間みっちりたたきこまれることになった。「今時の学生は、英語はかなりできる。それよりも入社早々に中国語に接することでお隣の巨大市場の重要性を肌身で感じてほしい」というのである。
これが「チャイナ・ファースト」(中国第一主義)。コマツの北米駐在員数は50人だが、中国駐在の日本人は 3倍の 150 人である。売上高( 2010 年 4 月~ 6 月期)は北米 410 億円、中国 984 億円。(日本国内は 544 億円) ⅹⅱ
現地法人の株主は、日本「本社」である。
どのみち利益や配当がないと意味がない。
そのために現地幹部の登用がある。
しかし、株主(日本本社)と執行側現地法人)の人間同士の信頼関係は実は非常に重要なことだ。
これらが「信頼」のもつ具体的意味になる。ⅹⅵ
(この稿、続く)
ⅰ 「米国の大学で学ぶ日本人学生(学部生と院生の合計)の数は過去 4 年で半減しています。同じ期間に中国人学生は 57 %増、韓国人学生は 41 %増です。人口が日本の半分に満たない韓国ですが、日本人の 3.7 倍の韓国人学生が全米大学で学び、ハーバード大学では日本人学生の 3 倍の韓国人学生が学んでいます。(一部略)日本人の5名に対して韓国人は 8 倍の 42 人が学部で学んでいます。「日本人の学部新入生は1名」だったのです。1994年度から97年度まで全米大学の国別学生数の第1位は日本人でしたが、現在の1位はインド人(10万3260人)、次いで中国人、韓国人です。日本人はこの上位3国に大きく離されて4位に転落したというのが現状です。」(経済ジャーナリスト大西良夫氏2010年7月7日記事)
ⅱ 産業能率大学がまとめた会社員などの意識調査によると、「海外で働きたいと思わない」と答えた人が67%を占めた。「語学力」に不安を感じているとの回答が9割近くに上り、コミュニケーション能力の不足が海外赴任を思いとどまらせる大きな要因になっているようだ。海外で働きたくない理由(複数回答)は「海外勤務はリスクが高い」が52%、「自分の能力に自信がない」が51%と続いた。海外勤務に向けて不足している能力としては「語学力」が89%に達した。役職別にみると、「海外で働きたいと思う」との回答は、部長クラスが57%だったのに対し、一般社員は29%と差がついた。産能大は役職が高いほど挑戦意欲が強く、海外勤務への心の準備ができている場合が多いなどと理由を分析している。調査は企業などに勤務する400人に対し、6月にインターネットで行った(2010年9月17日産経MSNニュース 「海外勤務イヤ!!9割が語学力に不安。産能大調査。」)
ⅲ 「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち 松田 久一 (著)
ⅳ 日本経済新聞朝刊2010年7月31日による。海外資産の合計は92兆7600億円で、海外資産比率は34%と、5年間で4ポイント上昇したという。いうまでもなくそれだけ企業が海外生産や買収を加速しているからである。
ⅴ 資産内外逆転企業の45社は、3月期決算企業全体の3%にすぎない。しかし、すでに3%の企業が逆転しているのである。(日本経済新聞朝刊2010年7月31日による。)
ⅵ 営業損益でいうと、海外源泉が国内を上回ったのは245社に上る。5年間でほぼ4倍に伸びている。外国人採用も増えている。日産自動車は2010年3月期に海外従業員が初めて日本国内の従業員数を上回った。HOYAとTDKは、従業員の海外比率が87%に達している。ミツミ電機では総従業員数3万6800人のうち過半数は中国人である。(日本経済新聞朝刊2010年7月31日による。)
ⅶ これらの情報は、2010年7月10日日本経済新聞による。
ⅷ 日本経済新聞2010年7月10日記事による。
ⅸ ファーストリテイリングは、全体の5割に当たる約300人を採る計画。進出済みの中国での出店増に対応するほか、マレーシアや台湾への初出店に備え、店長を担える人材を確保したいとしている。12年度はさらに外国人比率を高める方針。柳井正会長兼社長は採用全体約千人のうち、3分の2を外国人にする構想を表明した。ローソンは留学生の採用に力を入れている。当面、2~3割を主にアジア諸国から採る方針。2008年度からの3年間で、既に新卒社員の2割に当たる66人が入社している。楽天は新卒採用予定約600人のうち、150人程度を外国人2件にする見通しだ。中国のネット通販市場が急拡大すると見込み、ネット検索大手「百度」と合弁会社設立で合意。中国人技術者を活用して、現地ニーズに合ったサービス提供を目指す。3社のほかでは、パナソニックも外国人採用に積極的。11年度は、中途なども含めアジア出身者などの外国人を、10年度比5割増の約1100人採用する計画。採用全体に占める外国人比率は約8割に上る見込みだ。(47ニュース 2010年9月21日)
ⅹ ここで新卒採用というところが興味深い。新卒採用を一斉にするのは日本企業独特の制度である。とくに経験とスキルを要求せずに「何か将来使えるかもしれないから、」程度の人材要件で一斉採用するというのは、ファストリではまだまだ人材と組織の関係がアングロヨーロピアン型ではないことを意味している。
ⅹⅰ日本経済新聞2010年6月29日記事による。
ⅹⅱ日本経済新聞2010年9月20日記事 「経営の視点」による。
ⅹⅲA beginner’s guide to the Deep Culture Experience: “Beneath the Surface”; Dr Joseph Shaules.
ⅹⅳ日本史集中講義 井沢元彦著 17条憲法の真実 37ページ。
ⅹⅴS.M.A.R.Tに。(Specific, Measurable, Achievable, Realistic, Timely)
ⅹⅵこれはアメリカ企業を買収した日本人担当者の告白の書「アメリカ企業を買収せよ!」(PHPパブリッシング)に詳しい〈ページ202〉。この本は、当事者が語るダイメーカーズ社M&Aの実際(唐沢憲正、山岸誠一郎著)総合商社兼松を主人公に異文化間の摩擦を超えて日本人によるアメリカ企業の友好的買収と経営はいかにして行われたのかの詳細を述べた本。これは米国企業の例だが、日本企業のM&Aによるグローバル化にあたり他の国々や新興国にも妥当する戦略的な教訓に満ちている。
日本企業のグローバル化に合わせて、人材面でのグローバル化が急速に進んでいます。
最近の各社の状況についてご紹介します。
来春卒業予定の大学生の就職内定率が過去最低(57・6%、10月1日現在)となる中、外国人留学生の大量採用を打ち出す大手企業が目立っている。就職する留学生の出身地は、中国や韓国、タイ、インドネシアなどアジアが中心。母国の事情に詳しく、英語、日本語が話せるなど留学生の能力が高く評価されているようだ。日本の大学生に、企業側が物足りなさを感じている側面も見え隠れする。
コンビニ大手のローソンは来春、新卒者の約3割の20人程度を外国人留学生で採用する。運送大手のヤマト運輸も平成23年度の新卒採用の約3割を留学生にするという。カジュアルウエア「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングも24年度の新卒者の3分の2を外国人で採用する方針だ。こうした傾向は2、3年前から始まっている。
日本学生支援機構の調査では、20年度で大学・大学院などを卒業・修了した約3万5千人の留学生のうち、日本国内で就職したのは全体の約25%にあたる8736人。調査を始めた16年度の5705人と比べて大幅に増えている。
「ディスカッションでの発言力に日本の学生は物足りなさが残る。外国人留学生は積極的な姿勢が目立ち、入社後も日本人に足りない部分を開拓できる可能性がある」
ある企業の採用担当者は留学生の魅力をこう話す。
ローソンでは「新たな商品開発などを進める上で、多様な文化を持つ外国人留学生の力が必要」。今年から上海とシンガポールで宅配便事業を展開し、来年は香港やマレーシアに事業を拡大するヤマト運輸も「アジア進出に際して現地の事情にも詳しい社員が求められている」と期待する。
海外からの留学生が全学生数の約半分を占める立命館アジア太平洋大(大分県別府市)では21年度、日本で就職を希望する外国人留学生約270人の9割以上が三菱商事や東芝、東レといった有名企業に内定した。
同大の就職支援担当の村田陽一さんは「アジア圏でトップレベルの学力を持つ学生の多くは英オックスフォード大や米スタンフォード大へ進むため、日本に来るのはその次のレベルが多いが、それでも学力は高い。希望する日本企業に就職するために熱心に勉強している」と話す。
ただ、留学生のすべてが就職に恵まれるわけではない。東京労働局の東京外国人雇用サービスセンター(東京都港区)は「不況で留学生の求人数も落ち込んでいる。大企業に就職できる優秀な留学生と、内定がもらえずに帰国を余儀なくされる留学生の“二極化”が進んでいる」と分析している
中国・北京近郊出身で私大の留学生コースで日本語を勉強した後、中央大大学院の修士課程を経て、今年4月にヤマト運輸に入社した張(ちょう)磊(らい)さん(27)も「日本への留学で遊んでいる余裕はなかった。とにかく一生懸命勉強して日本の企業に就職したかった」と振り返っている。(田中充)
弊社ユニバーサル・ブレインズは、ヤマト・ホールディング株式会社・ヤマト運輸株式会社様の外国人社員研修、外国人内定者研修、日本人上司との「職場のコミュニケーション」研修などを実施させていただき、ヤマト運輸株式会社様のアジアパシフィック地域におけるグローバル化を、人材育成面で強力にご支援させていただいております。
将来を見据え、「海外」を視野に入れると必然的に文化や背景の異なる顧客と向き合うことになる。常に顧客満足の視点で顧客と接することを考え、宅急便を日本に定着させてきたヤマト運輸。
同社は今後の成長に向けて海外旬出に乗り出したが、事業の国際化だけでは真の海外展開は進まない。社内の国際化と両輪で進めていくことが必要であるという。
日本の大学に在籍する外国人留学生の新卒採用ニーズが高まってきています。
2010年度に外国人留学生を「採用した」企業は11.7%。2011年度の採用見込みで、「採用する」企業は21.7%。約2倍になっています。内訳は中国が一番多くて7万3000人弱。韓国が1万9000人弱。3番手は台湾だが5000人と少なくなり、以下ベトナム、マレーシア、タイ、米国が2000人台で並んでいます。
中国人の性格、価値観、考え方などを理解する努力をし、外国人留学生をしっかり採用し、活躍してもらう土壌づくりは急務です。
当社では、外国人留学生の新卒者に対する異文化コミュニケーションの研修を行います。入社はゴールではありません。早い時期に日本の企業文化を学ぶ、人間としてコミュニケーション力を磨くことは、その気づきが、入社後の業務研修や集合研修、さらにOJTの中でも生きてきます。そして不安や焦燥をうまくコントロールできるようになると、企業人としての自覚も生まれます。
外国人留学生 新卒採用者研修プログラム:英語でも日本語でも実施可能です。貴社向けにカスタムメイドとなります。外国人新卒者の国籍は問いません。
いずれも『戦略人事 グローバル化の波を優雅にのりこえる法』著者の笈川講師の担当です。
貴社のご事情とご要望をお聞きしてから適切なプログラムを設計しますので、お問い合わせください。費用についてもご相談ください。
左記サイドバー内相談お申込み、または、03−6214−2238まで、お気軽にどうぞ(無料)。
異文化コミュニケーションの研修は、フレームワークの違いをワークショップで体験学習することです。それは、生活レベルにとどまらず、製品・サービスのローカリゼイションやマーケティングに至るまで、ビジネスでの応用をはかるところに究極の目標があります。
最近、GDP世界第2位になった中国は、日本企業にとって工場や製造拠点というよりも消費市場として大きな意味を持つようになっています。消費者市場となれば、ますますその異文化コミュニケーション力が重要になります。
当社では、『中国(華人ビジネス)圏の異文化コミュニケーション(ビジネス応用編)社内研修プログラム』をご提供しています。
研修内容
コミュニケーションの基礎理論(言語、心理、文化の「ノイズ」について)
フレームワークが同じだろうという思い込みや誤解‐文化とは何か
●人と人の距離感の違いとピットフォール
●人としての価値観(中国人と儒教、諸子百家と現在の中国人)
日本と中国の歴史的「負の遺産」にどう対応するのか。
そもそも日本人(日本企業)のマインドセットはどこにあるのか。(ユニバーサリズムとパティキュラリズム、公正さと価値観)
製品・サービスのローカライゼイションをはかることの意味と方法
文化的タブーはあるのか。事例研究。
中国ビジネスにおける利害関係者とのコミュニケーション問題
●合弁企業相手
●大衆消費社会(消費者保護)
●当局規制
●報道対策
中国ビジネス社会・職場のコミュニケーション問題
●中国人従業員の姿
●中国人従業員からみた日本人駐在員の姿
●職場のコミュニケーションのポイント(中国独自の職場習慣)
●日本人トップという存在のありかたと動き方
▼製造業での進出企業の経験と教訓 (工場立地から運用開始までの日本人責任者からのフィードバック)
▼サービス産業での進出企業の経験と教訓(上海進出サービス産業の10年以上の現地ビジネス責任者からのフィードバック)
社内セミナー仕様
Practical & framework based, holistic and realistic approach.
1名の社員から実施可能。
グループ・ワークショップ方式を基本にします。(pair-up & break-out groups) 最大20名
社員研修方式(公開講座ではありません。)
ロジスティック(会議室、プロジェクター、フリップチャート)
他に、持ち帰り資料あり。
費用:個別見積によります。
最近のセミナー参加者の声を集めました。 | 海外赴任前研修の結果です。 |
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実践的な話が多く、すぐに役に立つようなエピソードを用いた説明がわかりやすかった。講師の一方的な話だけではなく、こちらの意見や経験を話すことも交えての研修であったため、退屈しなかった。 | ●異文化に対する違和感や不安は『しかたのないこと』(扁桃体の問題だと知った。異文化への受け入れ方がわかった気がした。
●Outer Referenceの考え方は日本人として当然あるものだが、少しでも無理をして’Inner reference’的思考を心掛けたいと思った。 |
対米国人へのコミュニケーションアプローチ、 タイムマネジメント重要性 ともに役に立ちました。 | 個人的な事も質問できて、非常に良かった。 |
Auto pilotが異なる時に違和感を感じる → そこをどう解釈していくか → 玉ねぎ → フレームワーク的な考えを導く。 異文化と上手につきあう方法を教えていただいたと思います。 | 明解な資料と説明をいただきました。時間はもう少し長くいただきたいくらいです。 ロジカルに扁桃体を包み込む手法を次回時間がありましたら、詳しくお聞きしたいと思います。
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4つの島の中でのsearch talkの重要性に一番気付かされた。今までの経験の中では、control talkの比率が大きかったと思う。海外ではsearch talkとstraight talkにチャレンジしてみます。 | コミュニケーションスタイルのストーンマップの件で考えてみると、普段行っていることも多いと思いましたが、常に意識して行う、整理をする大切さを学びました。今の仕事にも大いに役立つ事です。意識して取り組みたいと思います |
やはりコミュニケーションの4つのスタイルが最も印象に残りました。今後、仕事での会話をする際に意識して課題に解決に行き詰まった場合に役立てたいと思います。また、「コミュニケーションの敷居を下げる」、という先生のお言葉がとても印象に残っております。イタリア人に近づきたいと思います。 |
今や事業会社の売上の半分以上が海外源泉である場合は意外と多いのです。そこでは、取引先や顧客が海外であることが特徴です。他方、再生しようとする会社だけでなく、実は業績の良い会社であればあるほど株主構成も外人株主が相当のシェアを占め始めていることも多いのです。
このような環境の変化は自社の強みを生かし、弱みを補強してゆく中で、確固たる戦略を確立し実行することこそが生き残りの道です。
ところが、こうした内外を取り巻くグローバル化の中にあって、そのような確固たる戦略を確立することは日本企業にとって至難のことです。日本的な強みを失わずに、グローバル化にも巧妙に対応する必要があります。
しかし、キーパーソンだけを海外に2年間あるいは1年間MBA留学させる時代は終わりました。また、いわゆる英語屋さんでは、ビジネス実務は仕切ることはできません。今や、実務に長けた中堅マネージャーが、社内で、しっかりと仕事をこなしながら、グローバル化に相応した内容で、「異文化適応ノウハウ」を身につけなければならない時代が到来しました。
もちろん、海外赴任前のビジネスパーソンだけでなく、海外市場を相手にしている海外営業部や海外子会社を束ねるホールディングカンパニーにとっても、これは必須事項です。
なにより、社内外の異文化は、「ダイバーシティ」としての意味をもち、企業の変革的成長つまりイノベーションをもたらす源でもあるのです。
それは強い個の確立が要求される国際会議やコンフェレンス、ミーティング、商談には不可欠の要素です。その個人としての「ストラテジー」の確立こそ、異文化コミュニケーションを学ぶ目的であり、ゴールなのです。
異文化環境下においてどのようにヒトは反応するのか、その基礎的理論を身につけ、大脳皮質で理解すること、ストレス値を下げること、感情を含めて認知の態勢をコントロールすること、まずそれをロジックとして認識することが異文化適応にとって最も大切なことです。
次に、このように異文化を対象化して理解するその構造的理解を前提に、強い人間関係構築や効果的なコミュニケーション(すなわちメッセージの明確な伝達と問題解決のためのリスニング)が必要となります。そのときにプレッシャーがかかれば、なおさらです。
縦軸として、「異文化理解と適応」(100%順応することをいっているのではありません。)の課題と効果的な「コミュニケーション」の課題の双方の解決が必要となります。(異文化理解だけを学習してもアカデミックな意味しかありません。実際のビジネスに役立たせるには、コミュニケーション理論とその実践も視野に入れる必要があります。それがストレス値を下げ満足度の高い具体的な成果を目にすることができるポイントです。)
また、もうひとつの横軸として、こうした異文化理解と適応とコミュニケーションに関するスキルだけでなく、マインドセット(心的態度)の両方を学ぶことです。マインドセットは、実際の問題状況をさまざまに追体験し実際に「やってみる」というシミュレーションをすることがトレーニングになります。
実際は、この2次元のマトリクスよりさらに複雑で、問題状況がビジネス(スキル)と、異文化適応とコミュニケーションの3次元解析が必要になる事態のほうが多いのです。従って、実際の外国(人)とのコンフェレンス等で日本人が個人として参戦する場合には、事前にこの3点セットについてトレーニングを積んでおくことがパフォーマンスを高める成果につながるのです。
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1人1日3万円(税別)を標準料金とします。
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